第4話 たかがアニメソングというなかれ

 「鍛え鍛えた力と技で、倒れても、倒れても、倒れても、熱いハートで立ち上がる」

 これは僕が幼稚園の頃のアニメソングの一節だ。


 僕はこれまでの人生で、何か辛いことがある度、挫折を感じる度、苦しいことがある度、このフレーズを口ずさんだ。

 そうするとその度に、目頭が熱くなり、心が奮い起こされる気がした。

 そうだ、何度でも立ち上がってやろうと、その度に体から熱いものがこみ上げてくるのを感じた。

 そう、この歌は何十年間も僕の勇気の歌だった。


 僕の子供の頃は、もちろんユーチューブなんてものはないので、好きな歌があったとしても簡単に探すことはできない。

 確かタイガーマスクのエンディングの歌だったと記憶しており、ある時インターネットで調べたらタイガーマスクのエンディングの歌は、「みなしごのバラード」という歌だった。

 多分、この歌では無いだろう。


 長年の間、この歌は僕の中ではとても大事な歌であるものの、曲名も正確な歌詞もわからない歌だった。


 そしてある時思いついて、覚えている歌詞をそのまま検索してみた。

 すると、ようやく謎が解けた。

 僕が好きなこの歌は、「タイガーマスク二世」というアニメのエンディングの歌で、「いのちをかけて」という曲名だった。


 調べたところ、そんなに人気のあったアニメでは無かったようで、あしたのジョーの裏番組であり視聴率的に振るわず、途中で打ち切られたそうだ。

 恐らく多くの人はこのアニメもこの歌も知らないだろう。

 僕もアニメの内容は正直覚えていない。

 アントニオ猪木が出ていた記憶はあるが。

 そういう知名度の無いアニメの、しかもエンディングテーマであったが、僕に取っては今でも大事な曲である。

 他にもゴールドライタンというアニメの歌や、バイクロッサという特撮ヒーローの歌が今でも僕の心に残っており、時々辛い時とかに口ずさむ。

 たかがアニメソングというなかれ。

 僕は大げさでなく、こういう歌に救われてきた。

 

 

 

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それでも僕は僕の道を行く 青海啓輔 @aomik-suke

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