第3話 孤独について

 僕は孤独を好む。

 いや、僕は「孤独を好む僕」を好んでいるのかもしれない。

 僕は集団の中での孤独を好んでおり、本当に誰もいない孤独を望んでないような気がする。

 だから本当の孤独になったら、耐えられないんじゃ無いかと思う。

 例えば、無人島。

 恐らく期限が区切られた孤独であれば、僕は耐えられると思う。

 「一週間後に迎えにきますから、それまで貴方は独りです」というような。

 だが、例えば、無人島に漂流した、というような孤独には僕は耐えられないと思う。

 そう、つまり僕は純粋に孤独が好きなのでは無く、作られた孤独、または自分自身が作り上げた孤独、というシチュエーションが好きなのだろう。

 例えば、大都会の中の孤独。

 例えば、渋谷のスクランブル交差点。

 多くの人がいる。

 でも誰も僕の知り合いではない。

 いや、例え知り合いだとしても、例えばちょっと仕事で関わった事がある人だとか、その程度の知り合いなら、会釈してせいぜい一言、二言話して別れるだろう。

 そういう場合は僕は「孤独では無かった」とはカウントしない。

 休みの日は誰とも会話しない日がある。

 コンビニで店員と話したとか、家電の関係でメーカーのサービスセンターに問い合わせた事は、もちろんカウントしない。

 一日孤独を満喫した日の夜は、僕は今日は孤独だったと、独りほくそ笑む。

 明日は会社。

 嫌でも人との関わりがある。

 そして、人との関わりをそんなには嫌がっていない僕がいる。

 そんな時、やっぱり僕は本当の意味での孤独は望んでいないことに気付く。

 結局、僕は集団の中にいる、孤独な自分を見つけることを好んでいる。


 

 

 

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