146 その31 ~遠い地からの侵略 その19~
砂漠の町「バザー」に迫りくる神聖ドラゴニア帝国の軍と魔物の群れ…バザーでは黒い山が通過した後、今度は軍からの攻撃を受け、精神的にも参ってしまいそうになる…だが
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- カーシャ視点 -
知っている…覚えている内容を全て吐露し、父はより難しい表情になったが今はそれに付き合っている暇は無いと父の執務室を出て愛騎であるシャッセを駆って飛び立つ。
「もう…ここまで!?」
壁より高い視点になったことにより、ドラゴニア軍の尖兵が外壁の目と鼻の先まで接近している様を目にする。流石に尖兵たちは歩兵代わりのゴブリンやコボルドたちがメインの為に攻撃力はそれ程ではない…壁を破壊するにはそれなりに時間が掛かるだろう。
「…後続のあいつらが到着するまでの話しだろうがな…」
後方を見れば、中型のオークやオーガ。大型に近いトロルやジャイアントと続き、更に後方にはアースドラゴンが続いている。足並みが揃わないからと考えたのか、空を飛ぶ魔物はほぼ居ないが…
「ちっ…偵察用のイビルアイだけは居るか…シャッセ」
〈きゅるっ!〉
最低威力の
「くっ…これでわたしがこちら側に付いた…ってことはバレてしまったな」
こちら側とは生まれ故郷のバザー側という意味だ。明らかな軍機違反であり、敵対行為を成したこの身は…もう国境警備の任には戻れないだろう。バザーがどのような反逆を行ったのかわからないが…
「生まれ故郷を見捨てるよりは…マシだ」
元々、竜騎士になったのも度々襲って来る野良の魔物からバザーを護る為だ。一人前になってから戻って守護の任に就く予定だったのが、あの軍のバカ者たちのお陰で繰り上がっただけだ…問題は無い。
そんなことを考えていたのだが、不意に轟く轟音に体がビクッ…としてしまう。聞いたことのない振動を伴う音など…軍の
「
だが、あの軍には攻撃魔法を扱える人間も魔法を扱える魔物も居なかった筈だ(少なくとも見た範囲では…だが)ファイヤーボール級のファイヤブレスを吐くレッドドラゴンも居なかった筈だし…
どどどぉぉぉんんんっっっ!!!
どどどぉぉぉんんんっっっ!!!
ドドドドドドドドド・・・!!!
爆音の
「…シャッセ。壁の上から下の様子を…」
〈きゅる…〉
外壁の近くにホバリングしてくれたので、首を伝って外壁の上に降り…そぉ~…っと下の様子を覗いてみる。そこには…
・
・
しゅっ…しゅっ…しゅっ…
まるで瞬間移動さながらの移動を繰り返し、物々しい装備を身に纏った女性がその身体より若干大きい剣?を振るっていた。…目で追えるギリギリの速度で移動してはゴブリンやコボルドたちを斬り捨てて行く…そして。
「はぁ…疲れた」
と息を整え、こちらに気付いたようだ。
「じゃあね?」
いや、声は出してないがそんな風に喋ったと思う。手を振り、殆ど足が動いてないのに、まるで砂の上を滑るように走り出す…
「…夢でも見てるのかしら?」
〈きゅる?〉
シャッセが鼻先で背中を
・
・
「さぁっ!…まだまだ行くよぉっ!!」
どどぉぉぉん…!!
どどぉぉぉん…!!
ドドドドドド…!!
威勢よく叫んだが、装備している砲は豆鉄砲みたいに威力も低く、射程も短い為…接近されないと利きが悪い。雑魚の小型の魔物はほぼ掃討してしまった為、迫って来るのは中型以上の魔物しかおらず、ある程度接近すれば法弾は効くのだが高射砲の方はというと、急所にでも当たらないとその皮膚や毛皮で弾かれてしまっている。
〈GuRaaaaa!!〉
〈GuOOOOOO!!〉
〈PuGi~~~!!〉
トロル、オーガ、オークが怒鳴りつつ、高射砲の法弾をウザそうにはじきつつにじり寄って来る。目や鼻、口にさえ当たらなければ問題ないと、太い腕やこん棒などで庇っている。
「くっ…」
がかっ…
ついにオーバーヒートを起こし、法撃が止まってしまう。
「あ…やべっ」
がかっ、がかっ…
そんな様子を見ていた魔物たちの口に、
にやぁ…
と歪み、一斉に駆け出す!
〈・・・・・!〉
〈・・・!!〉
何を叫んでいるかわからないが、ゴーレム娘に押し寄せる悪意。傍から見れば…もうダメだと思っただろう。だが…彼女は接近戦が得意なのだ。そして斬艦刀は未だ無事だ…そして
ずぱああっっ!!
抜き打った斬艦刀は…手前の10体余りの魔物を振り抜き様に切り裂き、背後の魔物たちをもその斬撃の余波で切り裂いた!
「でやああああっっ!!」
振り抜いた刃を返す刀で更に振り抜く。壁の上から見下ろしていれば、その斬撃の範囲に目を見張ったことだろう…
だが、振り回していた斬艦刀をがっしりと受け止められる。
がしぃっ!!
「んなっ!?」
暫くの間、力は拮抗していたが…
ぎ・ぎ・ぎ…ぴきぴき…ばきゃぁっ…!!
「うわぁっ!!」
拮抗していた力が、斬艦刀が破壊された勢いでつんのめり…倒れ伏すゴーレム娘。
『
『いや…女の子なのに、なんであたいだけ男の子?』
ぺっぺっと口に入った砂を吐くごろう。
『いいじゃん男の
『胸も無いし丁度いい』
『ひ、ひどっ!!』
振り下ろされる拳を
「ふっ!」
…と、背筋の力だけでジャンプ…というか海老反りの如く跳ね…くるくると空中回転をして回避する。
〈GuRaaaaa!!!〉
「あーあ…折角創って貰ったポン刀がぁ…」
仕方なく残った斬艦刀を鞘に戻す。
どどどぉぉぉんんんっっっ!!!
どどどぉぉぉんんんっっっ!!!
どどどぉぉぉんんんっっっ!!!
どどどぉぉぉんんんっっっ!!!
ごろうが
すい~…
っと後退ると、走り寄っていた魔物たちがごろうの放つモノより強大な法撃で吹き飛ばされる。
〈GuRaaaa!?〉
〈GuOOOO!?〉
〈PuGi~~~!?〉
「ちょっとぉ~…大丈夫ぅ?」
「あ、うん。大丈夫…ありがと」
「珠のお肌に瑕付いてない?」
「いや…なんかそのいい方、
「お尻の「やめーい!!」…うんぅ~…いけずぅ~」
うちの砲撃隊は何でこんな変態ちっくなのばっかなんだっ!?…と思ったが、まだまだ敵は迫っている。
「はぁ…ガス欠だし
「「「は~い!ゆっくりお休みぃ~」」」
いや、まだ寝ないから…と心の中で突っ込みつつ、ごろうは疲れたとシディへと帰還するのだった…
・
・
「ごろうちゃんを危険な目に遭わせやがって…野郎共!
「いや隊長…死んでませんて…後、わたしらは野郎じゃなくて淑女!」
「淑女?…でも、倍返しは賛成っ!!」
「うんうん…でも、オーバ-ヒートには注意!!」
「じゃあ…
「「「応!」」」
どどぉぉんんっっ!!
ほぼ、ずれもなく一斉射された法弾。高射砲は効き目が殆ど無い…ということがわかっているので使用されなかった。そして…
〈〈〈GuRaaaa!?〉〉〉
〈〈〈GuOOOO!?〉〉〉
〈〈〈PuGi~~~!?〉〉〉
撃ち放たれた法弾は腹から上に全弾命中し、貫通した法弾は後方の何体かをも撃ち抜いていた。最も威力の有った手前から3列目の魔物は腹から上を消し飛ばされ、問答無用で死亡。それ以降も致命傷になって倒れ伏す。
「くっ…こちらの背丈の関係で余り当たらない…か」
「射角の関係上…後頭部を撃ち抜いたら上に抜けてしまいますね…」
そうこうしてる内に、第1・2砲撃隊が追いついた。
どどどぉぉぉんんんっっっ!!!
どどどぉぉぉんんんっっっ!!!
どどどぉぉぉんんんっっっ!!!
どどどぉぉぉんんんっっっ!!!
『無事かっ!?』
『ごろうちゃんが撤退してったけどっ!?』
『怪我はっ!?』
(…いやあんたら…念話聞いてたでしょ?…全員無事だよ)
第3砲撃隊の小隊長…
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ごろうちゃんを除いた17名の第1~3砲撃隊は、ごろうちゃんは死んでないというのに「弔い合戦だぁ~!」…と、ノリと勢いで撃ちまくるのであった…(苦笑)
備考:以下、各員の独り言w
ザック 「初めてだからわからんでもないけど…」
レム 「戻ったらお仕置きだな…」
ナル 「マナも無限じゃないんだしね!」
ごろう 「この戦い、終わるまでに復帰できるんだろうか?」
メンテ要員「無理ですYO?」
※標準装備の斬艦刀の修理は、基本ザック以外には不可です(苦笑)
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