133 その18 ~遠い地からの侵略 その6~

新大陸の人影のない砂浜で遊んでいたら、シードラゴンに急襲を受けてほぼ全滅した。

※200人ちょいいた頭数が数人に減ったらそう表現してもふつうだよね?(を

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- 取り敢えず脱出しよう! -


未だ水底の結界の中で、ある程度収まってきた元砂浜の結界内でザックたちは備品をアポートで取り寄せては収納していた…まぁ殆どは半壊してたのだが、0から再生するよりは楽って訳で…


「ん~…コアだけが無事な奴や、欠損はしてるけどボディは残ってるのが多いな…」


「そうですね…できるだけ回収をお願いします」


「無論…だが」


ゴーレム娘たちは取り寄せアポートではシャーリーと同じく手元に引き寄せられなかった。何故だろう?


「転移…転移…」


MPポーションは余り摂取すると体には良くない…なので、大容量魔石ラージマギバッテリーを用いて魔力を補充する。先日、5本近くを充魔力チャージできたのが功を成しているが…


「!?…結界強化!!」


結界を補強した直後、


ガイィ~~~ンッ!!


と、強化しなければあっという間に破損する勢いで殴られた・・・・…正確には尾びれで叩かれた・・・・ような感じではあったが…


「…見つかったか」


「この濁った海水の中、よく見つけられたな…」


ザックが神妙な顔で零すと、マロンが同意を示しつつ冷や汗を垂らしている。モンブランはサヨリとジェリコ皇女をその腕の中で護っている。マロンに護れといわれているのだろう…忠犬というか何というか…(大型犬のように見えてきたw)


(マーキング…マーキング…視える範囲ではこれで全部か?)


ザックは探知魔法の知覚範囲内でゴーレム娘と思われるモノをマークしていく。そして欠片であってもコアのみであってもマークをし終え、取り敢えず最後の転移魔法を行使する。


複数転移マルチプル・トランスポート!」


その直後、次々と現れるゴーレム娘たちの亡骸が時間をずらしつつ次々と転移してきて、それを急ぎストレージへと収納するザック。遅れて


がいぃんっ!!…がいぃんっ!!


と、既に場所は覚えているぞ?…といわんばかりに尻尾?が叩き付けられていく!


「お、おい…やばいぞ?」


「ヒビが…」


結界に、


ぴき…


ぴき…


ぴきぴきぴき…


と、ヒビが1本入り、2本入り、次々とひび割れが広がっていく。勿論、結界に更に強化補強を掛けていくが…それも間に合っていない。


「もいっちょ、結界!」


ぱきーんっ!


内側に新たな結界を構築して何とかもたせようとするザック。ここで魔力がガクっと減って頭がクラっときたので大容量魔石ラージマギバッテリーから魔力を吸収…2回目だ。これで1本目の大容量魔石ラージマギバッテリーが灰色からほぼ真っ黒となり、残容量がほぼゼロとなる。残り3本と半分が1本。全て使い切る前に脱出ができるだろうか?


(というか、大容量魔石ラージマギバッテリーからそう何度も魔力吸収すると…)


意識を失いかねないなと考える。自然回復とは違い、無理やり魔力を体内に詰め込むという行為は思ったより体に負担を強いる…急速充填する2次電池の寿命が短くなるのと同義なのだ。


「マスター…」


不安そうに小間使いをしていた少女型のゴーレム娘が言葉を零す。


「大丈夫…これで全部!」


最後であろうゴーレム娘の躯体とコアがゴロゴロと転がり、収納する。が、意識が残っていたのか、その躯体が


ぽわっ!…ごろごろごろ…


と収納されずに弾かれて転げ落ちる。


「「「え?」」」


今までそんな結果にはならなかったので驚いて見ていると…


「はっ!?…仮死機能解除?…あ、マスター、ご無事だったんですね?」


と、敬礼するその個体は…


イワンNo.011!?…無事だったんだな」


「あ、はい。ちょっと左腕がもげちゃいましたけど、イワン、無事?に御身の前に!」


と、今まで転移魔法で回収した中では遥かに軽傷のイワンがしゃがみ、かしこまっていた。


「緊急事態だから…」


と、暗に悠長なことしてられんのや!…とザックがイワンを黙らせる。そして急ぎ耐久値再生デュラビリティ・リペアーを掛けて左腕欠損を無かったことにしてから初めて気付く…


「あー、これ着ておけ」


「はい?…あ…すいません、その…粗末なモノをお見せして…」


と、着ていた水着が全て引っぺがされて素っ裸だったイワンから視線を逸らしつつ、標準装備品を仕舞っているアイテムボックスを渡すザック。イワンは今初めて気付いたというように、胸を軽く両腕で隠す。


「…青春ごっこはいいんだけどさ…」


マロンがきつい視線を結界に向けて零している。


がいぃんっ!

がいぃんっ!

がいぃんっ!


びきびきびき…


「あ、やべぇっ…」


そろそろ限界の結界に、ザックは焦る。


「…取り敢えず脱出する。集まってくれ!」


「…集まる程広くはないが?」


マロンがそういいつつ、ザックの周囲へと集まるゴーレム娘たちと同様にくっつくと…


「最小範囲の転移魔方陣展開!」


魔方陣は通常なら5人くらいしか入らない大きさで展開する。結界の最内周ギリギリの大きさだ。


「目標…直線距離で20km先の丘陵の上」


かちん


「転移人数…9人」


かちん


「転移開始までカウント省略…転移!!」


ぶわあっ!…ぱしゅんっっっ!!!


時間にして0.5秒で転移魔法光が爆発的に広がり、全員が魔方陣から消失する。その前には転移の阻害とはならないように結界も消失していた…結界が消失した空間に視界が真っ暗になる程に汚れた海水が結界のあった場所に流れ込み、遅れて薙いだ尻尾が空振りしてその持ち主のシードラゴンは攻撃対象の消失に気付く…


〈KeEEE…〉


してやられた…と、シードラゴンは唸るが、どちらに向かって逃げたのかわからない為、海面から顔を出して有視界で探そうとするが…その姿を見つけることはできなかった…


━━━━━━━━━━━━━━━

シードラゴンがビーチを急襲してゴーレム娘を吸収!…駄菓子菓子、肉体を持つ存在ではないので魔力の吸収をして位階を上げられず、目論見を果たせず疲れただけだった…(ざまぁ?)


備考:人間だったら微々たるもんだけど経験値になったのに、非生物のゴーレムだったのでできなかったということで!(見た目は人間女性ばっかりだったのにw)

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