84 その41 ~サンフィールドに帰還 その2~
ドライールドを魔境化させて帰還するザックたち。無論、核となったユグとルドランは緑の魔境に置いてきぼりだ!
そして帰還してミランダ婦人に簡単だが報告するも、斜め後ろ過ぎる結果に韜晦しそうになるミランダ婦人。責任ある者は色々と重荷を背負って生きていかねばならないが、これ程の重荷が…と思うだけで肩が凝りまくる婦人であった!
その後、ザックは大浴場に入って癒されていたが…従者ゴーレム娘たちの乱入に大浴場で大欲情しそう…にはならなかった。鼻血が出そうにはなってたそうだけどね?w
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- 目的は達成したけれども… -
「マスター。指定された重量に達したので目標をクリアしたと思われます」
翌日の午後。一旦砂採取に出していたドライールドで創造した警備・その他の役職?のゴーレム娘たちを集合させて、リーダー・サブリーダーに渡しておいたアイテムボックスに収納している砂を計量して貰っていた。
尚、アイテムボックスを持っていない個体には収納袋というアイテムボックスの劣化品というか…下位互換性のある物を持たせてある。流石に両手で掬って持ち運び…では、余りにも持ち運べる量が少ないし零す可能性もある。かといって人数分のずた袋…では見た目にも美しくない訳で…
収納袋は腰に括り付ける小袋といった見た目で、性能的には100kg入る軽量化と拡張の魔法が掛けられた収納袋だ。砂状の物しか入らない限定条件を掛けたので重量軽減と内部拡張の性能の割には高性能な代物となった。その代わり、砂状の物以外は一切入らない(口に入る大きさの棒とか小石すら入らない)ので、砂以外では調味料とかその類くらいにしか使えないだろう。一応、内部に水も入れられるので、よく洗えば調味料の保存袋代わりにも転用は可能だ…と思う。
※水は物凄く
そんなこんなで、全員の集めた砂を計算したら相当な量を確保できたと報告された訳だが…
「じゃ、ストレージ回収するから出して?」
用意したテーブルの上にどさどさと置かれていくアイテムボックスと収納袋。尚、アイテムボックスは手の平に置けるくらいの…所謂ルービックキューブと同じくらいの黒い箱だ。くるくる回して立体パズル遊びはできないが…
10数個のブラックボックス…ではなく、アイテムボックスと数百個の収納袋が置かれて、流石に用意したテーブルから溢れそうになるので一旦置くのを止めて貰う。
「んじゃ、中の砂のみを収納っと…あ、白っぽくなったのアイテムボックスは順次回収してってな?」
アイテムボックスは外観の色合いで限界を知ることが可能だ。世間一般的なアイテムボックスはどうか知らないが…真っ白な物は中身が一切入っておらず、漆黒まで黒いのは満載していることになる。返却したアイテムボックスは淡い灰色なので、恐らくリーダー・サブリーダーの個人所有の物品か、隊の共有品でも納めているのだろう。だから取り上げることなく返却した訳だが…
『マスター、有難う御座います…』
と、いちいち頭を下げて感謝なんてしなくてもいいんだぞ?…と、念話(ヘッドギアの機能で実現)で礼を伝えてくるリーダー・サブリーダーたちに軽く手を挙げてへらへらしてたらレムに横っ腹を
ぎゅうっ!
「痛ぇっ!?」
ちなみにレムが横でアイテムボックスや収納袋を受け取ったり手渡してたので、横に居るのは助かるんだけど…事有る毎に嫉妬して体のあちこちを抓るのは御免被りたいもんである…いや痛いんだよ?…物凄く…
・
・
「結構凄いことになりましたね?」
「あぁ…驚いた」
ストレージのステータスを見て書き出したんだが…まさかの合計重量である!
【ストレージ(ザック)ステータス】
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耐久値:07,329 / 10,000
残魔力:07,184 / 10,000
収納量:
(数量)0,002.256M / 1000M
(重量)19.360Mt / 100Mt
※単体の容積・重量が小さく、総量が重い物は重量で表現されます
※水や砂などが該当。出し入れする時は容積か重量を指定して下さい
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まさかの単位が
「えっと…1メガトンって…何キログラムだ?」
1トンが1000kg。メガは100万の単位を表す。依って10億kgとなるがこの際変換しても余り意味は無い…が、「物凄く重くて人間には潰されるしかない」くらいの指標にはなるだろうか?
「ま、まぁ…持ち上げられないってことくらいですか…」
レムには脳みそがパンクしているザックにそう伝えるしかできなかったらしい…(苦笑)
「全部で19メガトンって…そりゃあんだけ人員投入すればできなくはないのかぁ…」
シャーリーが揃っている全員(は見渡せない。外で待機している汎用ゴーレムの数からして数百体と揃って居るのだから…)を見て呟く。
「こうなったらマウンテリバーとの交易隊メンバーも用意して、砂の定期輸送部隊も創るかなぁ?」
…と、そんなことを呟くザックに、
「「「そんなに追加人員は要りません!(要らないよ!)」」」
…と、釘を刺されるのだった。
- 警備ゴーレム部隊サイド -
「聞いた?」
「聞いた聞いた…マスター、またゴーレム部隊創るとか…」
「そんなに要らないよね?…交易部隊って、要は砂漠の砂の輸送部隊でしょ?」
「あ~…聞いた話しだと、マナを多く含むので錬金術用の素材に使うとか何とか…」
「あぁ、だから砂を集めろって話しだったのね?」
「集めるにしても、表層10cmくらいまでにしろってのは?」
「太陽から注がれるマナが深さ10cmまでしか浸透しないとか?」
「はぁ~…そういう
「それで納得しちゃうのかYO!…そもそも、私らだって絡繰り人形って悪態付く人間だっているしぃ?」
「違ぇねぇっ!w」
「「「あははは!」」」
…と、3人寄れば
「じゃあさ?…輸送部隊だけどうちらで草案作って誰か提案しない?」
「あたしパース!」
「うちも~」
「何でさ~?…上手くいけばマスターに覚えが良くなるかもよ?」
「覚えが良くなってもねぇ?」
「傍に侍らせて貰える訳でもないし!」
「逆に古参のあのお嬢様たちにバラバラにされそうで怖い…」
ブルブルガクガクと震えだす警備ゴーレム娘たち。
「そうだよな…遠距離なら一発逆転の目はあるがな…」
とは
「いやいや、仲間内で
と、索敵部隊のゴーレム娘が突っ込む。
「そうそう…争いは平和的に…これで勝負を付ければいいのさ!」
と、「これ」に合わせて腕に手の平をパシーン!と叩き付けて胸を張る近接部隊のゴーレム娘。尚、汎用ゴーレムの為に全員ほぼ同じボディで筋肉も付きようがないので、揃いの制服を着ているどこぞのお嬢さんたちが張り合ってるのか?…という感じでほのぼのしていた…言動は軍隊のそれであったが…(苦笑)
尚、服装に関しては規則で揃いの制服だが髪型に関してはつるっぱげ以外なら常識?の範囲内で自由にしてていいといわれていた為、ドライールドで見掛けていた女性の髪形の展覧会のような状況になっていたが、おしゃれに関しては無頓着なザックが気にする訳もなく…恐らくサンフィールドの人間が見れば「ギョッ!?」とされる事請け合いだろう…
※別にサンフィールドでも存在しない訳ではないですが、女性が顔も隠さずに大量に闊歩してる景観はそうは見ないので…(ミランダ婦人は公人の為、顔は隠してませんが余り出歩くことはありません)
・
・
…という訳で、予定の無かった警備ゴーレムたちからの上申書?…が届き、中を紐解いて読んでみると。
【SF産商品の行商部隊の発足上申書】
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◎サンフィールドでの特産品の行商部隊を発足
・マウンテリバーとの交易路の安全確保
・定期的な交易を確保
・サンフィールドとマウンテリバーの提携(交易的にも政治的にも軍事的にも)
・暫くは「定期的な行商」と「行商路の保全」を目的として月1程度で交易を…
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などと謳い文句が書かれていた。なにこれ?…余りにもやっつけ仕事的できちんと人間が書いたにしては拙い文書なんだけど…
「ひょっとしてこれ、ゴーレム娘たちだけで?」
「えぇ…まぁ。驚きました…あの
いや、レムもそうなんだけど?…とはいわずに
「そ…そっか。まぁ…僕も考えてた内容な訳だし…これを草案にして、もう少し煮詰めてからミランダ婦人に提案してみては?」
「そう…ですね。そうしてみます…」
と、
(驚いたなぁ…まさかそこまで考えてるなんてな…)
思考コアに記憶コア。そして基礎的だが考える力を持たした汎用ゴーレムたち…産まれてからそこそこの時間が経過し、様々な経験を経て…その経験を体得し、押し付けられた命令をこなすだけではなく…僅かながらでも自分で考え、実行する力を持つ彼女らは…人間とどう違うのだろう?
(そりゃ…魔力が無きゃ稼働できないとか、色々あるけどな…)
人造の産物、それもある。
排泄しない…そりゃ生き物じゃないからな。
人より頑丈で壊れ難い…そりゃそういう構造だし。人間だって魔法の力を借りて頑丈な奴は割と存在する…上位の戦士なんかは強化魔法で肉体を頑丈にしたり力を強くしたりしているしな…
- 予定以上の砂を確保したんでマウンテリバーへ! -
「本当に戻っちゃうの?」
「えぇ…まぁ…。こちらには予定以上に滞在しちゃいましたし…」
「養子縁組の話しは…」
「無かったことで!」
「え~………」
とまぁ、なんやかんやありましたが。
一応、あれから1週間くらい掛けて汎用ゴーレムたちに改良措置を取り…基礎能力向上。構造材を見直して改良。思考コアに耐性向上(ハッキング…人間でいえば魅了などの洗脳に対して耐性を持たせた)…そして装備品の性能向上を施した。
(流石に街を一撃で消し飛ばすような敵には無力だけど…)
ドラゴン1体くらいなら、攻めて来ても撃退できる程度の防衛力を置く…という基準で防衛戦力を構築・設置した訳だ。勿論、ミランダ婦人に許可を取って…だけどね。
・
・
「元ドライールド自治領土軍…あ、いえ。ザック様付き自衛軍、謹んで…サンフィールド防衛の任に就きます」
そーゆー認識だったのかよ…と、心の中で溜息を吐きつつ、
「宜しく頼むな?…えーと、イコだったか」
「はい!…
ババッ!…と手足を揃えて敬礼するイコ。表情がカチンコチンに固まってて緊張し過ぎで可哀そうになるが…まぁこういうのも1度くらいしかないだろうと…にっこり笑って肩ポンしようとして…届かなかった。くっ…恰好悪い…
「マスター、こちらを…」
楚々としてレムが足台を…かえって恥ずかしいんだがその心遣いを無に帰するのもアレだなと思って台に登るザック。
「あ、ありがと…じゃ、じゃあ頑張ってくれ!」
ようやく肩に手が届き、肩ポンするザック。
「はっ!…有難き幸せ…であります!!」
『ねぇ…イコってあんな軍人口調だったっけ?』
『さぁ…』
『あ~…昨日、夜中に軍人口調を誰かに聞いて一生懸命練習してたみたいだよ?w』
『こ、こらっ!…バラすなぁ~っ!?』
『…』
(この
流石にチェンネル指定して指向を限定していれば聞こえないが、
他のゴーレム技師にも聞こえる可能性はあるかも知れないが…この国には殆ど存在しないと聞くので、漏れ聞こえる可能性はゼロに近いだろう…聞かれても内容が
…ま、それは兎も角。イコに限らずドライールド事変(という事件名が付いたらしい)に関わったゴーレム少女の内、ザックやレムたちに覚えのある個体に集まって貰い、「サンフィールド防衛任務」という名の任務に就いて貰う。イコ、ヒロ、ヒナたちは所謂下っ端の汎用警備ゴーレムに当たるが…
「諸悪の根源たる大商人に拉致監禁されてたが…まぁ、中身の成長を期待してだな…」
3人共サブリーダーに格上げと相成った。訳だ。これが!
「但し、正式なサブリーダーじゃなくて、防衛隊の雑用みたいな立場だから最初は細々とした雑用が多いだろうけど…まぁ、ガンバレ!」
うん、わかってた…みたいな微妙な表情のイコ・ヒロ・ヒナの3名。ま、まぁ…謹んで拝命しますといってくれたので何とかなるだろう…多分。
他、ドライールドで量産した索敵・狙撃・近接の3職のゴーレム娘たちは引き続きサンフィールド領で防衛任務に就くこととなる。違うのは防砂提となっていたドライールドの買収した土地ではなく、サンフィールドの外壁に櫓を設置。そこに索敵と狙撃を置き、近接防御はその下に新設した小屋にて待機。或いは街中を巡回警備といったルーティンを組む。
勿論、1日24時間勤務…なんてブラックな勤務ではなく、3交代制を用いて1日8時間で交代し、週に1回勤務時間をずらしていく…と、なるべくホワイトな勤務体制を用いた。シフト次第で連勤する者も居るかも知れないが…そこはシフトを組む者の腕次第だろう!
・
・
「じゃ…後は頼んだよ?」
「「「はい!…お気を付けて!!」」」
勢揃いした(防衛任務に就いていてこの場に居ない者は除く)サンフィールドに居残りで非番のゴーレム少女たちとミランダ婦人たちに見送られ、ザックとレムたちは馬車に乗ってサンフィールド領主の館を出る…実に、数箇月に及ぶ寄り道であった!
(いや、普通に往復するだけでも…とんぼ返りしても2箇月は掛かる旅程だけどね?)
整備済みの街道をひた走る馬車もザック特製のゴーレム馬車だ。疲れ知らずで突っ走るゴーレム馬が引く馬車は…日の出ている間に走破する距離も通常の馬車の倍…とはいかないが。少なくとも1.5倍近い距離を稼ぎ、矢張り行きと同じく3週間程でマウンテリバーに到着するのだった。
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ちょっと砂を取ってくるだけの予定が…orz
備考:予定は未定であり、決定ではないのであった…
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