山と川の王国…マウンテリバー
85 その1 ~数箇月振りの帰還~
サンフィールドに帰還し、報告を済ませた後…後顧の憂いを感じたザックはゴーレム少女たちを改良したゴーレム防衛軍を創設…サンフィールドの護りを任せた(いや、本当にそんな名前の団体じゃあないけど)ドライールドで創造したゴーレム少女たち…頭から命令した訳ではなく自ら志願した者たちに…という訳だ。元々
サンフィールドとマウンテリバーはそこそこの距離が離れている為、ヘッドギア型の念話装置は届かない…依って、専用の通信機を創造して領主の館に設置した。以前にも設置した気がするがこちらは
そして…数箇月振りにマウンテリバーへと帰還するザックたち。大量のマナ含有砂をゲットして…!!
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- 矢張り、帰るのは例の小屋…あれ? -
「門番の奴、失礼だったなぁ…」
「まさか、昔の門番さんが解雇されて変わってたとか…」
「マスターがお化けだなんて…失礼にも程があります!!」
ザック、シャーリー、レムである。
尚、ドライールドで創造したゴーレム少女を護衛にしてゴーレム馬に乗せて馬車を警備させ、御者も同僚に任せている。人数だけなら十分に付いて来てくれたので、不要ではあるが盗賊に対する備えも十分で、道中襲い掛かられることもなかった…尤も、走破力のせいで襲わられたとしてもスルーはできただろうけども(苦笑)
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「
ビシッ!…と敬礼した彼女はドライールドで最初に製造した統括体代わりに少々機能を増やした
「宜しく…実際に話すのは初めて…か?」
「はい!…マスターの初めて、頂きました!」
な、何とも元気な娘だが…ちなみにショートヘアでゆるふわウェーブのやや茶色掛った金髪?…で、目の色は碧眼だ。肌色は全員同じだが髪の毛は染めてるんだと思う(初期では全員人間ではよく見られる焦げ茶色の髪なのだから。髪型は好みが途中で別れるだろうと初期ではロングタイプで統一してあった。目の色もカラコンでも付ければ自由に替えられるし(目玉そのものを交換してもいいが…失敗して失明しても知らんといってあるのでカラコンだろう…多分))…つか初めてって!?
※ゴーレムの人造目玉なのでやや粗い造りのカラーコンタクトでも別に問題は無いというオチw
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「
イツコと打って変わって静かに軽く頭を下げるに留まる…いわば控えめな感じの少女だ。
「宜しく。ドライールドでは…」
「イツコ通信士と組んで全体の管制をしてました」
「…そ、そうか」
何かマイペースな子だな…と思ったが、数百体のゴーレム少女たちを管制してたという話しに嘘は無いだろうし…何かが起こっても冷静さを失わないのも資質だろうと思い、
「宜しくな?」
と返し、
「はい…」
と、頷くナナ。尚、髪型はロングヘアの標準のままであり、髪の毛が伸びないゴーレムな為…時々髪の毛を整えているだけだろう。不潔な感じは無いので定期的に洗っているのだろう。瞳の色もデフォルトの黒だ。衣類に関しても無頓着なのか、イツコと同じくドライールドで配布した制服を着込んでいる。
※やや砂色をした軍服と思って貰えば間違いない。但し、外で活動しない関係上…防御力が高い防具ではなく、普通に斬られれば易々と切断される布の服なので汚れて洗えばどんどん劣化していく為にいずれは補修したり交換は必須。
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「
如何にも歴戦の勇士!…といった感じの少女がビシッ!と敬礼をする。そーいや何処ぞで116がいいと誰かがボヤイテいた気がするが気のせいだろうか?
「…あ~、宜しく」
「?」
「あ、いや…何となくだが、すぐ自爆しそうな名前だなぁと…」
「!?…あ、いえ、失礼しました。でも、そうですね…死と生の狭間のスリルを楽しむ癖が付いてしまったことは…確かにあるやも知れません」
いやいやいや…何だその性癖はっ!?…とは思ったが、こいつは近接戦部隊に居た奴か…恐らくあの時に壁の中に侵入したドライールド領兵と交戦した経験があるんだろう…
「まぁ…マウンテリバーに来たことで…もっとヤバイ戦いに駆り出されるかも知れんが…まぁその時は宜しくな」
「はっ!」
ザザッと踵を合わせ鳴らし、ビシィ!っと再度敬礼をするヒイロ。まぁ、汎用ゴーレムとして設計されてるから性能は人間を少し強くした程度だからな?…無理はしてくれるなよ…
ちなみにこいつは短髪で…針金が尖がってるような髪型だ。目の色や髪の色はデフォルトのまま、黒に焦げ茶色。普段から鍛えてるような感じなのでゴーレムじゃなければ見事な筋肉が付いてただろうけど…残念ながら筋肉は付かないんだよな…代わりに体の制御は向上するので、効率的な動きが学習されていくはいくんだけどな?
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「
そろそろネタが尽きて来たのか…ややごり押しな名前が来た。まぁいいんだけど。多分最後の方の量産ロットの子だろう。魔力が尽き掛けていてあんま記憶が無いんだよな…
「あの!…ムツキです。ドライールドでは索敵班やってました。よ、宜しくお願いします…」
そして、ペコ!…と腰を折り曲げて…バランスを崩し掛けていたので首根っこを摘まんで起こしてあげる。
「はわわっ!?…す、すいませんマスター…何かこう…腰が落ち着かなくて…あ、膝もですね!?」
あ~…魔力不足で制御系が不安定なのか…後でメンテで呼ぶか。そういうのはいってくれないと気付きにくいんだよな…
「あぁ、わかったから。後で診てあげるから来なさい」
と、頭を撫でる。村の妹は僕を見下していて…いやいいか。村のことは思い出す価値も無いし。だが…この子は何だか見ていると癒されるな…何かこう…手が掛かるけど放っとけない感じの義妹って感じ?
「「「…」」」
何かをぼそぼそと話している他のゴーレム少女たち。それに気付いた僕は…
「君たちも、何か不調を感じたら来てくれ。診てあげるから」
と伝えると、
「「「はっ…はい! その…その時は宜しくお願い…しましゅっ!?」」」
一斉に喋られても聞き取れ切れないんだけど…あ、噛んでるし…(苦笑)
苦笑いでムツキが下がる中、3人のゴーレム少女たちは真っ赤になりながら下がっていく…
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「これで護衛を務めた4人は自己紹介を終えた訳だけど…」
「そうですね」とレム。
「まぁ~護衛で外でお馬さんに乗ってたのはあの子たちだけだけどね?」とシャーリー。
御者はレムがやっていてシャーリーは馬車の上で索敵をやっていた。ご苦労様である。
「他の子とはやるんですか?…面談とか」
「いや流石に…」
ストレージに収納したまま連れて来た汎用ゴーレムたちは凡そ50体程。ドライールドから引き揚げて来たのは600体余り居たがそちらは殆どがサンフィールドに残ったが先の4体だけが帰還に付いて来た。残るストレージ内の彼女たちはサンフィールドで量産した子たちで、その殆どがサンフィールドで小競り合いなどで破損し、行動不能に陥っていた障害持ちばかりだ。
「会話は可能だけどさ…流石になぁ…」
50体と挨拶から始めて自己紹介とかは…改めて考えると1日で終わる気がしない…ので、修繕しつつ雑談でもしながら…ということで納得して貰おう。そして後日…流石に魔力が多いといっても疲労はするので、1日5体程で10日掛けて彼女たちを修復し、大変感謝されながら仲が深まっていくのであった…
・
・
全員の修復を終えた翌日。疲れ果てたザックが自室のベッドで惰眠を貪っていると…
「…?」
「…」
「…?」
「…!」
何やらひそひそと喋っている声が聞こえたような聞こえないような…そしてこっそりと接近する気配。それは人間のそれではなく、例えるならば意思を持つ人形がこそこそと接近中と酷似している感じ。
「…誰だ?」
細目に目蓋を開けて問い掛ける。
「ま、ますたー…あの、その…」
「そろそろ起床の時間です。ですので…」
「起こしに参りました!」
中腰で接近していた人影は…今まで修復していたゴーレム少女たちだ。彼女たちはサンフィールドで破損し、そのまま仕事を継続するには難しいと領主の館の倉庫で眠っていた者たちだ。
「えっと…
最初に声を掛けてきた少々おっとり気味の子がミナ。次に生真面目委員長風の子がイオナ。最後の元気印な子がミクだ。
全員黒髪黒瞳で、ミナが短めの三つ編みツインテール。首辺りでツインテールが伸びている感じで、イオナはボブカットに近い感じ。髪の毛は肩に付かないくらいの長さ。ミクは頭の上の方から分かれてるロングツインテール。某ボカロに似てるといっちゃダメな奴だw
「えっと…もう起きたから。起こしに来たんだよね?」
「「「え…えと!…その!」」」
よく考えると、この子らは破損状況がかなり悲惨な状況で…ミナもイオナも両腕欠損に片足が破損。ミクに至っては四肢断裂した状態で酷かった。聞けば、サンフィールドの街中を巡回していて暴漢に襲われて…とのことだ。四肢の欠損ができた理由は…人間の女性じゃなかったから腹いせに…ということだろう。非常に憤慨すべき事件だが…
「あ、いえ…こうして綺麗な体に戻していただけましたし…」
「はい。感謝こそすれ、暴漢も既に可能な限り、報いを受けてらっしゃるでしょうし…」
「大丈夫です!…マスターの専属にして貰えればこんなこと…「「しっ!」」…あ、あは、あはははは…聞かなかったことに…」
とまぁ、3人揃えばゴーレムでも姦しいと…いやそうじゃなくて。
「まぁいいや。起きたら着替えないとな…そろそろリンシャさんに帰還したと報告に行かないとだし…」
既に探索者の資格であるギルドカードもランクも剥奪されてるが…出掛けてくるといった手前、帰還報告は必要だ。出る時はギルド長には何もいわなかったが…まぁ探索者じゃないんだから無用だろう。
「では!」
「お着換え」
「お手伝いします!!」
…という訳で、姦しい3人娘に何故か着替えやら朝食を摂る為に食堂までの案内やら、食事の手伝いを…する羽目に………はぁ、何でこんなことに?
「…毅然として断らないから!」とレム。
「あははははw…マスター、その子たちも
「失礼な…ハーレムの主人公じゃないんだし…大体侍らすとかあの子たちに失礼でしょ!?」
「「…ま、それもそうか」」
ハモりながら
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ハーレムルート突入?…いや、最初からそうだって?…そうかも知れないw
備考:生活魔法というよりはゴーレムラノベみたいになってますが…勿論、意識してそうなってる訳ではありませんw
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