54 その11 ~サンフィールドに往こう その11~
2人っきりで砂漠でイチャイチャしてたレムとザックを、シャーリーとドライールドの偵察兵がデバガメしていた(最後だけ書くとそれしかやってないように思える不思議w)
━━━━━━━━━━━━━━━
- まず最初に… -
「え?…私のボディの更新、ですか?」
「うん。そのままだと万が一、ということもあるしね?」
「あたしは?」
「勿論更新するよ?」
「わーい、やったーっ!」
(まぁその為に呼び戻したんだし…)
此処は領主の館から少しだけ離れた砂漠…そして、砂漠の表面の砂を採取しながら徒歩移動中でもある。
「余り離れると不審に思われるから…こんなもんでいいか」
頷いたレムがザックを抱えて駆けて戻る。最初に飛び降りた辺りまで戻るとザックを下ろして周囲を警戒し始める。
「あ~、最初にレムのボディの更新から始めよっか?」
「え…いいんですか?」
「うん。じゃあ、
ずぞぞぞっ!…と砂が盛り上がり、壁を形成する。幾ら砂が土と似た系統の物だとしても微妙に性質が違う為に
「ここに寝ればいいの?」
こくりと頷くザック。一瞬、動きが止まるレムだが、意を決したかのようにメイド服を脱ぎだす。
「いやいやいや!何で服脱ぐのっ!?」
「え?…だってボディを強化するんだよね?…だったら邪魔な服は脱いだ方がいいのでは?」
…何か勘違いしてるようだ。どういえば理解し易いか…考えながら説明するザック。
「えっとな…その服は後付けで創った奴だけど、実はレムの体と一心同体の代物なんだよ。
こくこくと頷くレム。
「だからな…着たままで問題無い。何故なら…」
ごくっと喉を鳴らすレム。
「その服も一緒にパワーアップする更新だからだっ!」
ババーン!…と効果音は鳴ってないが、
「おお~っ!」
と驚くレム。うん、実にざーとらしい…(苦笑)
「わ…わかりました。では、着たまま横になりますね?」
いそいそと脱ぎかけたメイド服を着直し、寝台に横になるレム。うん…勿体ないとか思ってないぞ?…絶対にだ!(ウソツケ…w)
・
・
横になった途端、プルンと揺れる双丘をうっかり見詰めてゴクリと喉を鳴らすザックであったが、
「イカンイカン」
と頭を横に振って雑念を振り払う(払えきれてないがw)
「さて…と」
これからやるのは「砂」を用い、ベース素材の「マウンテリバーの土」と入れ替えること。勿論、砂をそのまま入れ替えるのではなく、モンブランと同様に物質変換してゴーレム用素体に向いた物質に変換して入れ替えるのだ。
「収容」
ストレージにレムを収容する。そして錬金魔方陣で収容していた砂を物質変換して高性能なゴーレム用素材に変換する。その素材を現在のレムの躯体の仕様に合わせて加工する…所謂「体形」を複写して同じ体をもう1つ創った…という訳だ。
「外見はこれでいっか…後は中身っと」
ストレージ内のレムの体を
「ラスト。コアを移植っと…終了」
ゴーレムのコア移植も終わらせた。コアの状態に依ってはコアも創り直してそちらにコア情報を移植…と思っていたが、コアが壊れたら元も子もないので最初からその時点で創れる最上の物を創っておいたことが良かったのか特にそのままでも問題が無かったので旧ボディから新ボディへ単純移植で済んだ。コアは単純に3種類あり、記憶を蓄積する記憶コア。思考を司る思考コア。魔力を蓄積放出する魔力コアがある。記憶コアと思考コアで人間の脳みその機能を代替し、魔力コアはゴーレムの動力源である魔力の…要は電池の役割をしている。充填も可能なので充電池ともいえる。
「あ…ボディが高性能化してるから…」
魔力コアをもう2つ追加しておくことにした。性能が上がったせいで、動力源が1つでは何かと不安もあるからな…ってことで、砂を用いて以前の魔力コアの2倍の性能を持つ新型魔力コアを2つ創造し、中腹の真ん中に旧魔力コアを。左右に追加した新魔力コアを配置する。ボディ内部の各々の機能部分を若干配置換えしてその隙間を空ける…既に最適化されてる所に無理をさせたが…暫くは違和感を感じるかも知れないけどその内に馴染むだろう…と思う。
「これで…問題は無いかな?」
チェックをしてみるが…項目が多過ぎるので探知魔法に任せることにする。暫くして、
〈Check OK〉
と返って来たので、多分大丈夫だろう(いや、探知魔法万能過ぎるだろ!w)
「んじゃ、「レム」を取り出しっと」
目の前の寝台にレムが寝たままで現れる。収納時と同様に横たわったままで動く気配が無いが慌てず騒がず、
「レム、
と、口に出して
「…ま、ス、たぁ…」
まだ馴染んでないのだろう。声が変だが反応はした…」
「お、早ウ…ゴざい、ます…」
段々滑らかになっていく話し方。そして、
ギギギ…
と首を巡らしてこちらを見るレム。ハイライトが消えていた瞳(怖ぇ…)に光が戻り、普段見せてくれる可愛らしい笑顔を浮かべる。そして…
「マスターっ!」
ずばん!
…と目にも止まらぬ早さで飛び付いて来るレム。
「おぅふっ…!?」
慌てて体に結界を張って保護すると同時にレムの体当たりが炸裂し、そのまま土壁に押し付け…否、激突する!
びきぃっ!!
かなり頑丈にこさえた筈の土壁に数多のヒビが入り…そのまま
ぱんっ!
と飛び散って…壁に大穴が空いた。当然、壁を背にした僕とレムは穴が空くと同時に倒れたけどね?(苦笑)
「…マスター。だいじょぶ?」
「…っ、あ、あぁ…何とか、な?」
ヒクヒクと口の端がヒクつくが…辛うじて苦笑いで返事をする僕と、そんな状況も顧みないで
「マスター!マスター!怖かったですぅ~っ!!」
と、キャラ崩壊したレムが抱き着いて泣きじゃくっている…
「…?ひょっとして」
「生まれたばかりの頃に戻ってない?…レム」
シャーリーも同じことを考えていたのか。これはボディを入れ替えたことで起こったのかも知れない…。コアがボディに馴染めば元に戻ると思うが。
「じゃ、落ち着いたら次、シャーリーな?」
「え…えぇ~?」
そんな言葉を放ったら、物凄く嫌そうな顔をされた…解せぬ。
・
・
物の10分でレムが泣きじゃくり状態から復帰したので、壁を修復して椅子を即席で創って座って貰い。シャーリーを寝台に寝かせて(本人は嫌がってたけどw)スキャンしてからストレージ内の錬金魔方陣で交換用ボディを創造する。今回は全てストレージ内でやるのではなく、新ボディのみストレージ内で創造して用意するが、旧ボディ側はストレージには収容しないでやることに。
「何で収容しないんですか?」
「いやなぁ…ストレージの中って時間停止してるんだが…。
落ち着いてはいるが、まだ「くすんくすん」と泣きべそかいてるレムを見ると、シャーリーも
「あ~…確かに。どんな怖い目に遭ったかわからないけど…」
と、同意するのだった。半ば無理やりにだが(苦笑)
やることは簡単だ。シャーリーの場合、コアも小さいのでそれ程高性能化はできなかったので新ボディの方は今の技術で高性能化したコアを用意し、魔力コアも高圧縮化した魔力を蓄積できるようにした物を用意して埋め込んである。ボディの機能も旧ボディをスキャンして同様の機能を新ボディに反映させた。
「よし、用意できたっと。じゃ、ちょいと失礼するぞ?」
「お、おう…どんと来やがれ!!」
「じゃ、シャーリー、
単純にゴーレムの機能停止…再起動可能な状態に移行させた。レムの場合、ストレージに収容したと同時に同じ状況になるのだが、予め機能停止にしてから収容すれば問題は無かった…かも知れない。どの道機能停止は必須条件なのだが…
「じゃ、失礼してっと…
手をシャーリーの体に
・
・
「…終わったな」
数分の時間が経過し、旧ボディのシャーリーからは生気というものが感じられなくなっていた。ザックは旧ボディシャーリーを収容し、新ボディシャーリーを取り出す。そして寝台に寝かせてから命令する。
「シャーリー、
ぱちっ
…と目を覚ますシャーリー。そして体のあちこちを寝たまま触りながら確認をしている。それが終わるとゆっくりと上体を起こし、
「マスター、お早う!」
と、ニコパするのであった。矢張り、1度機能停止させてからやった方が正解だったのだろう。
「シャーリー…大丈夫、だった?」
と、恐る恐るレムが問うと、
「うん。レムのあの痴態を見た後だったしね!…覚悟はできてたしぃ~?」
と、ドヤ顔のシャーリーがレムを
「もう…意地悪!!」
と、追うレムと逃げるシャーリー。
「なんだかな…」
と溜息を吐くザックだった。
- 汎用ゴーレム増産! -
「じゃ、シャーリーは砂の採取を。あ、姿を消してな?」
「…表面から10cmくらいだったよね?」
「そっそ。深い部分はマナ含有量が極端に減るから余り意味が無いし」
「いえっさー!…じゃ、行ってきます!」
姿を消したシャーリーは、暫定ゴーレム工房を飛んで出て行く。彼女の新ボディには以前の物の100倍の容量を持つアイテムボックスが内蔵されている。旧アイテムボックスは50kg程の物が納められ、重量軽減機能で相殺する機能の物(小さなポシェット型)を持たせていたが、今回はボディに内蔵しており、有り余る魔力で最大重量5トンまで。大きさも制限は無い(但し、大き過ぎる物は出す時に注意しないと大変なことになるが)収容する時は対象に触れる制限はある為、触れても大丈夫な物…という制限もある。あの性格上、触れずに収容できた場合…大変な物を取り出して大騒ぎになりそうな為に課した制限でもある(苦笑)(溶岩とか死体でも悪影響を振りまく魔物とか?)
尚、レムは服のポケットにアイテムボックス機能を付与してあった。重量は200kgまで。元々大きさに制限は無いが重量制限(シャーリーの4倍の容量ではあるが)がある為にそれ程巨大な物は収容できない。
…が、今回は保有魔力が5倍になった為に(魔力コアが旧コアを1とし、新魔力コアが2。2つ追加したので1+2x2で5倍となる)容量と制限重量も増加した。メイド服(の内ポッケ)にアイテムボックスの出し入れ口があるのは変わらないが、その重量が25トンまで。但し、一度に収納できる大きさは5トン以内か、10m×3辺以内と制限が課せられる。但し、3辺が30m以内なら1m×3m×26mなど見た目の形が変わっていても出し入れは可能だ。
※長さ39.98m×縦1cm×横1cmの
・
・
「さて…やっと本題に入れるな…」
まずは1000体を一気に創る。ストレージの錬金魔方陣付属の専用保存枠には1000までの生産品一時保管がある為だ。最大1000個まではストレージで生産して置いておけるという訳だ。だが、今まで全く魔力充填していなかった為、遂に
〈警告!…保有魔力が残り3%を割り込みました。至急魔力を充填して下さい!〉
【ストレージ(ザック)ステータス】
--------------------
耐久値:07,460 / 10,000
残魔力:00,292 / 10,000
収納量:
(数量)0,002.254M / 1000M
(重量)1926.831t / 100Mt
※単体の容積・重量が小さく、総量が重い物は重量で表現されます
※水や砂などが該当。出し入れする時は容積か重量を指定して下さい
--------------------
「お、おう…」
数字で示されてもザックの保有魔力で足りるのか不明な為(この世界の人間はステータス表示はなく、大体魔法を使ってみてどんな感じか…と、感覚的にしかわからない為。大きい教会でステータス表示しても、数字ではなく現在のランク文字しかわからない)に、取り敢えず満タンの
「あ…これ、どうやって充填すりゃいいんだ?」
と思ったが、試しに指輪の宝石部分に
〈魔力充填中…〉
「おお!…これでいいのか…」
ちなみに充填する時は反対側の接点を握る。そちらは吸収とは反対に、魔力吸収する時に尤も効率良く魔力放出される部位だ。どちらも少しだけ出っ張りがあり、1回押し込むと中の棒部分がポップアップし、握り易くなるのが特徴だ。最初からあった訳ではなく、後付けの仕掛けなのだが中々便利なアペンド機構だった。
・
・
時間にして凡そ3分後。
【ストレージ(ザック)ステータス(魔力)】
--------------------
残魔力:04,292 / 10,000
--------------------
「4000…か?」
どうやら
「また後で魔力充填し直さないとなぁ…」
取り敢えずストレージの保有魔力が80%程回復したので、ザックは汎用ゴーレムの生産開始するのだった…
━━━━━━━━━━━━━━━
【汎用ゴーレム性能緒言】
◎警備ゴーレムと同等性能(フル装備の衛兵より少し上程度・バフ魔法無し前提w)
※但し、潜伏した敵兵の探知性能。敵兵を捕らえる為の俊敏性・移動力。反撃を受けた時の為の耐久力(本体ではなく装備している衣類で補う)・防御力は2割増しとする
◎魔力コアは特別品で、1箇月無補充で稼働可。但し、与えられた依頼が完遂するか期限である1箇月を経過すると躯体からコアまで全て崩壊する(創造する前から設計された命令で覆らない)
◎創造された個数は1万体だが、一度に1万体を動員すると流石に目立つ為、半数を待機兼、予備として5千体を地域毎に分けて各地の衛兵や私兵などをリーダーとして引き連れて運用することとする
備考:レムとシャーリーの新ボディは…旧ボディと比べて滑らかさと肌触りが向上し、添い寝して貰うと抱き枕としても極上の…はっ!?(な、なな何いわすんねんっ!(爆)←自爆しといて何をw)
※ちなみにシャーリーの魔力が出力向上し、ボディの堅牢性を上げる為に…25cmのフィギュアサイズから50cmの抱き枕サイズへサイズアップしていたりw(をひっ)←体重は本人の意向により、常時重量軽減魔法が掛かりっぱなしなので変わりなく5kgの儘だったりする(益々米袋(5kg)じゃんって思ったらいけないw)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます