30 その13 ~マウンテリバー、魔族の侵攻を受ける!…その13~
地竜が壁を破壊して突っ込んできてマロンとモンブランに討伐されるが小物たちがその穴から侵入して来た。だが、集結して来た冒険者と衛兵たちに
完膚無きまでに町中を破壊し尽くされたマウンテリバーサイド。領主の館と一部の魔法防御を施した重要拠点以外の家屋はほぼ瓦礫と化していた。ザックはまず更地にしようとストレージに産廃となる瓦礫など建物の残骸(中には馬車などの建物以外も含まれているが)を回収してまわった。無論、ザック1人だけでは時間が掛かるのでアイテムボックス持ちの従者全員で…だが(総重量「1768.561t程」となっていた(苦笑))
その後、ザックは産廃を復興資材として主に石材へと作り替えていくのだった…
ザック「はぁ…魔力が幾らあっても足らんぜよ…」(って何処出身だよw)
━━━━━━━━━━━━━━━
- 防備を強化しよう! -
取り敢えず瓦礫を復興資材に作り替えて資材置き場に放置した後、ザックは防備が足りないと考える(外壁の修繕作業を進めながら)
(う~ん…今までは唯の壁だけで良かったけど…)
地竜…アースドラゴンの出現は想定外とはいえ、現実に突破されてしまっている。最低限、
・
・
「えっと…確かこんくらいだったかな?」
まずはマウンテリバーサイドの中央の門から外へ出る。そして、襲撃があった北側へ少し歩き、壁の状態を見る。
(…経年劣化が結構進んでるなぁ)
外見は毎年の修繕と称した外見だけを色を塗り直して綺麗になっているが…よく見れば細かいヒビは入っているし、少しポンポンと叩くだけで塗布している色は剥げ落ちて、ヒビが入っている本来の壁の表面が露になる。これでは地竜でなくとも、中型の魔物が突進しただけで穴が開きかねない…
(地竜には効き目が無いみたいだけど、通常の魔物が忌避する術…魔方陣が埋め込まれてるからかな?…今まで無事だったのは)
壁の上方にある障壁と同様、一定間隔で忌避魔方陣も埋め込まれている。だが、この周囲に存在する小型~中型の魔物には効果があるが、大型から超大型の魔物には一切効かないだろう…これは大型の魔物の魔紋が発生するような効果を持ち、小型~中型の魔物を接近させないようにする為の仕掛けだからだ。誰でも自分より強いモノには近寄りたくないと忌避するのと同じ原理だ。唯、人間と同様により強いモノへ突っかかる変わりモノもいるようで、時々突っ込んでくる魔物は居たらしい…(苦笑)
(ならば、突っ込まれても破壊されない頑強さと弾き返せる反射属性を持たせるといいかな?)
だが、まずは新品同様に戻すべきだろうと…
・
・
半日を掛けて北側全域の外壁のお化粧直しを終了させたザック。
「はぁ~、お腹空いたなぁ…」
ぽてっと座り込んだのは石橋が望める外壁の北西の…門から辿って行ける最北端だ。それより先は深い峡谷なので空を飛べない限りは壁に取り付けない。仕方ないのでこれより西側は中に入っての作業となるが…
「また門に戻って中に入るのも面倒だな」
…と、壁の上から回り込むこととした。無論、障壁が生きている部分は侵入が不可能なので(魔方陣を破壊すれば別だが)昨日突破された部分から回り込むことになる。
「よっと」
とっ…たっ…とんっ!
…と、壁を蹴って駆け上がり壁の上部分に着地する。壁は修復したが、魔方陣の内容を知らないのでどんな陣を構築すればいいか不明…という訳で、知ってる範囲のごく普通の障壁を一時的に張っていた。要は結界だ…張った本人は普通に行き来できるので侵入できたという訳だ。
「これ、隙間が僅かにあるからなぁ…ずっとこのままじゃ不味いよね」
微細な虫みたいな魔物が存在していた場合、その隙間からは容易に侵入できるという訳だ。まだ警報が出てないのでそこまで頭が回る魔族や魔物が居ないようだが安心はできない。
「既存の魔方陣の障壁に重ねて結界を張ればいいじゃないか?」
…という者が居るかも知れないが、物理的な壁ならそれでもいいだろう。だがモノは魔力を用いて作った壁だ。あり得ないが火と水で作った壁の端を重ねろといってるようなものだ。触れた部分は蒸発し干渉しあって壁が消滅する危険がある。…つまり、僅かな隙間がより大きい隙間となって侵入可能な大きさの魔物が侵入し放題となる可能性があるという訳だ。元からある魔方陣の発生させている障壁の性質を時間を掛けて調査できれば別だが、今はそんな猶予は無い。
ふと、下を見下ろすと…ナルとレムが何か荷物を持って待ち構えていた。
「マスター、お昼まだでしょ?」
シャーリーだ。
「下でお弁当を広げて食べようってレムたちが…」
「わ、わかったよ。だから引っ張らないで…」
此処は外壁の上。ぐいぐいと引っ張られると落ちて大怪我しちゃうよ!…と思いつつ、了承を伝えて風魔法「
「マスター!」
「旦那様!」
「はは…待たせたかな?」
冷や汗を掻きながら、ザックは女性3人に囲われてお昼を摂るのだった…。勿論、シャーリーたちゴーレムは魔力カプセルを接種すればいいだけなのだが、別に食べられない訳ではない。排泄はできないが吸収して体構造の補修に流用はできるのだ(分子より小さい原子分解して再構成し、構造材にしてからとなるが、細かいことは意識せずとも魔方陣の基礎魔法として自動的に行使している)
凡そ1時間程の他人が見ていたら砂糖を生産しそうないちゃいちゃは精神の安定の為にカットさせて頂くw(うわぁ…(苦笑))
・
・
時は過ぎて本日の夕方。レムには取り敢えず北~西~南側半分を
「ふぅ…これで再侵攻があっても大丈夫、かな?」
仮に同型の地竜が攻めて来ても何日かは持つだろう。流石に全周を攻められたら未強化の西半分はヤバイだろうが…
「今日はこれで撤収?」
レムが戻って来た。現在位置はノースリバーサイドへ向かう石橋の前だ。ザックは再び南の門から処置しながら北へと向かったので石橋の前を集合場所として待っていたという訳だ。
「そうだね。そっちは終わった?」
「うん。取り敢えずは」
終わったならいいと頷き、石橋へ振り向いて歩き出す。
「っと、疲れた?」
ゴーレムは肉体的には疲労することはない。だが、魔法を使えばコアが疲労することもあるだろう…魔力カプセルで補充はできるが、魔法を行使すればコアが魔力の補充と放出を繰り返せばそれなりに疲労するのだ。就寝し、休息している間に劣化した部分を補修するらしいが…
「少し。こうしてれば癒されるから平気」
と、左腕に引っ付くレム。やや歩き辛いが…
「まぁいっか」
と苦笑いで歩き出すが…それも、石橋の向こう側で睨んでいるナルが現れるまでの束の間のイチャツキタイムであったがw
- ザック邸 -
「領主の執事から?」
「はい」
手渡された書状は…確かにマウンテリバーの領主の封蝋だ。
「何かあったかな?」
封を切り、中を検めてみると…
『王都より魔族侵攻防衛の為の戦力が出発した。凡そ3箇月後に到達の予定…』
とだけ
「えっと…」
ザックはこれだけの文面で何をしろとも書いてない書状を読み、
(何をしろっての?)
と、頭の中だけで悶えるのだった…
━━━━━━━━━━━━━━━
マロン 「迎撃か?」
ザック 「いやいや…味方に攻撃してどーすんの!」
レム 「お帰りになって貰っては?」
シャーリー「もう敵は撃退しちゃったしねぇ?」
ザック 「一度動き出した出兵を取り止めるのは無理じゃ?…」
ナル 「折角いらして下さるのですから、復興支援を手伝って貰っては如何?」
ナル以外 「「「それだ!」」」
※いやいやいや、おいおいおいw(第3波が来ないとは一言もいってない罠w)
備考:炊き出し支援と家屋建造支援で水・食糧・金銭の放出で屋敷備蓄金と倉庫に貯め込んだ食糧の放出(肉は狩りで貯めてた分。水は地下水から搬送。野菜類はダークエルフ居留地で耕してた畑から提供して貰った(ザック印の急速成長魔法陣付きの畑から。無論、土から栄養素が枯渇しないように特製肥料も配布済み))
家屋建造支援:381名(町民+冒険者+探索者など)
×日給銀貨5枚×10日分=銀貨19,050枚
水食糧搬送・:代行者21名(女性町民や調理手伝いの子など)
炊き出し費 ×日給銀貨1枚×10日分=銀貨210枚
合計額:銀貨11,430(金貨114枚、銀貨30枚相当)
屋敷の備蓄額:
金貨2,370枚、銀貨211枚、銅貨714枚(使用人の給与支払い、雑費支出、マウンテリバー復興の為の家屋建造支援金と水食糧搬送・炊き出し代行費を支出)
ミスリルインゴット30kg
ミスリル鉱石21kg(マロンのドロップ品)
本日の収穫:
此処1週間のマロンの狩って来た魔物のドロップ品や死体からの素材の収益合計(多種多様に渡っているので詳細を書くと…なので省略。マロンは銀貨・銅貨の分を自分の収益として懐に収めているので貨幣相当額・金貨以上のみ記載…金貨2,019枚、他ミスリル鉱石21kg
※但し、探索者・冒険者ギルドが崩壊してるので現物をザックのストレージに収容保存してるだけ
今回の買い物(支出金):
給与として各使用人に支払い :1週間分、銀貨210枚(奴隷の使用人のみ)
ゴーレムたちに一時金の小遣い:商店が全滅してたので無し
他、食材やら細々とした支出 :同上
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます