ゆっくりと締まっていく
シヨゥ
第1話
1年を走り切りようやく大晦日を迎えた。長かったようで、迎えてしまえばあっという間の1年だった。月並みだがそう思ってしまった。
そんなこんなでどうにかこうにか迎えた大晦日もなんだかんだで大忙しだった。買い出しに、大掃除にと引っ張りまわされた1日だった。
夕飯の片づけを終えてようやく炬燵で一息つく。
「お疲れ様」
すると皮の剥かれたみかんと熱々の緑茶がやってきた。
「ありがとう。今日も夕飯はうまかったよ」
「ありがとう。1年お疲れ様」
付き合いだして、そして結婚して何度目の大晦日は分からない。分からないがこの大晦日の特番を見ながら炬燵で2人でダラダラと過ごすのが幸せな時間だというのは分かる。
「年越しそばどうする?」
「そういえば買ってたな」
「明日のお昼でもいいけど」
「せっかく年越しそばとして買ったんだし、食べようか」
「うん、分かった」
「迷惑かけるね」
「別にいいよ」
「何か手伝えることは?」
「じゃあまた洗い物お願い」
「分かった」
「11時過ぎぐらいでいいよね?」
「うん」
「それじゃそれまでダラダラしようか」
「そうしよう」
言葉を交わすことなく、ダラダラと年末特番を見るだけの穏やかな時間。明日のことなんて考えず、ただただ時間をムダに消費していくこの時間がとても幸せなものに思えるんだ。
ゆっくりと締まっていく シヨゥ @Shiyoxu
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます