第3話 丸パンを作る
材料は揃ったので、いよいよ生米パンを作る。
若干本とは違う内容になってしまったが、とりあえず先に進みたい私は、その辺を省みることはない。猪突猛進。強行突破。前に進むのみである。
さて、今回作る生米パンは、本のなかで最初に紹介されている「丸パン」である。掲載されているレシピのなかで最も簡単であり、ベーシックな作り方だ。
今回使用する材料は以下の通りである。(『家にあるお米から形成パンができちゃう! 毎日食べたい生米パン』<リト史織/永岡書店>を元に、筆者がアレンジしたものである)
・生米……115グラム
・油……8グラム
・はちみつ……8グラム
・塩……2グラム
・ぬるま湯(50~60度)……85グラム
・天然酵母……2グラム
・片栗粉……3グラム
・米粉……仕上げ用(ということになっている)
まず、一晩水にさらして置いた生米、油、はちみつ、塩、ぬるま湯をミキサーに入れる。
だが、この時点で問題発生。
ぬるま湯なのだが、一定の温度に保たせておくことが容易ではなかった。寒い時期に行ったためか、折角レシピが求めている温度に設定しても、すぐに下がってしまうのである。
お湯を足すのはいい。だがそうすると、レシピにある量から増えてしまう。よって、減らさなければいけないが、そうするとまた温度がすぐに下がってしまう……という、初心者ゆえの前途多難な出だしである。
そして、生米。ミキサーに入れると砕かれる予定だが、どうも細かくなっている気がしない……。しかし、始めてしまったものを途中で放り出すわけにもいかないので、無視して先へ進む。
ある程度混ざったところで、買ってきた天然酵母を投入。
だが、ここでまたしてもトラブル発生。
酵母が入っている袋を開けた途端、酒の臭さがキッチンに充満したのである。
——くさっ‼︎
心の第一声である。本当に臭かった。
普通日本酒などのお酒の香りは、フルーティな香しいものだろうが、酵母の香りというのはそういう洗練された酒のような匂いはしないらしい。
こんなことを言うのは酵母に失礼だろうが、例えると爺さまがビールを飲みまくって、吐いた息に似ている(世の爺さまにも失礼である)。
それなのに、酵母を入れた状態でミキサーで
私は「くさい……、くさい……!」と叫びながら、何とかミキサーを回した。回さなければ出来ないのだからやむを得ない。
ここで一旦、レシピを見返す。すると「米がとろりとしてなめらかになるまでする」と書いてある。だが、いくらやってもその状態に辿り着かないという、おかしな状況になっていた。
今回は家にあったミキサーを使ってやったのだが、ミキサーにも色々な種類がある。家にあったものは、求められたところまで攪拌できないミキサーだったらしい。
しかし、作り始めたからには最後までやらねばならない。変な闘志が燃えてくる。
レシピが求めている「とろりとして、なめらか」には正直届いていないが、この状況を脱却するには次のステップに進むしかなさそうだ。本には「サイリウムハスクを入れろ」と書いてあるので、代用品の片栗粉を入れる。
これで少し粘り気が出てくればこっちのもんだ。
そう思ったのも束の間。全然粘り気が出ない事態に陥る。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。