第2話 ノリのいい会話と暗い話題
若そうな警察官なだけあって、何ともノリがいい。
だけど、やっぱりな。ああ、どうせならこのまま話を引き延ばしてなかったコトにしたいんだけど、相手は話す気満々だ。
初めに思い浮かんだコトは間違いなかった。祖母から聞いてた、父親の居所。それが福岡だったから。私のコトではなく福岡県警察と名乗った時点で、なんとなく父のことのような気はしていた。
こうなれば、もう向こうの用件は二つに一つしかない。
①父が何かの犯罪を犯したか巻き込まれて、警察署まで引き取りに来て欲しい。
②父が何かしらの形で死んだ。
「お父様が、ご自宅で亡くなられているのが発見されまして……」
「うわぁ、ビンゴ」
「え。マジですか? 予想してたとか、すごいじゃないっすか」
「えへへ、それほどでも」
「いやいや、そうじゃなくって。あの申し上げにくいのですが、お父様がお亡くなりになってから結構なお日にちが経っていたようなのです」
「申し上げにくいと言いつつ、すぐに申しちゃうあたりがなんとも。ああ、で、結構なお日にちって?」
「もー、真面目に聞いてください。ご遺体はすぐに解剖へと回させていただいたのですが、はっきりとした日にちはもう特定できなかったんです」
「そう……」
②だったか。どこか冷めたまま、聞いている自分がいるのにも少し驚いた。
父が死んだ。
最後に会ったのはもういつだろうか。母と離婚し、当時不倫相手だった女の田舎に行ってしまった父。父親っ子だった私は、あの時すごく悲しかったことは覚えている。それから高校卒業するまで、父は母に養育費を払い続けてはいたが、一度も私に会いに来てくれたことはなかった。
この二十年、父の声を聞いたのも片手ほどだ。そんな赤の他人に近い、父親の死。悲しめと言う方が無理がある。
なのに、最後の最後にやらかしてくれたものだ。もちろん、本人に意思ではないコトは分かってはいるが。でもそれでも、だ。
「少し長くなりますが、おまとめした経緯をお話してもいいですか?」
「はいはい、どーぞ」
その橘さんはこと細かに、分かり得た父の死亡までの経緯を話してくれた。
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