第5話解決

谷水は昨夜の写真を封筒に入れ、後日依頼者に渡す準備をして、帰宅しようとした。

自分の車のキーを解錠し、乗り込もうとすると、制服警官に制止された。

「どういう事?何かの事件?」

すると、黒川が現れた。昨夜から何度も見た顔だ。

「いや~、お疲れ様です。今からお帰りで?」

「はい」

「今日はお着替えは?」

「まだです」

「良かった~」

谷水はイラつき、

「今日は疲れてるんです。帰して下さい」

「そういう訳にはいけません」

「何で?」

「あんた、水原アキさん殺したね?」

谷水は一瞬声を詰まらせたが、

「アリバイはどうするんです?」

「ん?アリバイ?何であんたがアリバイの事を気にするんでしょうか?」

「……」

「まっ、いいでしょう。あんた、浮気の現場の張り込みで、19時15分頃、どこにいらっしゃいました?」

「車の中です?」

「ホントに?」

「えぇ~、ウソだと思うなら、カメラの録画見ます?」

「あなた、時間を突っ込まれた時用にカメラを録画した。事件は19時15分です。あんな祭りの最中に射殺なんて、度胸がいります。なぜ、サイレンサーを使わなかったのでしょうか?犯人はわざと使わなかったのです。何のためにか?それは、犯行時刻を知らせたかったからです」

「俺は殺していない」

「亡くなった水原さん男性関係が派手なようで。あんた、迫られていたんじゃないですか?」

「……俺が殺した証拠はない。見せやがれ!それなら、白状してやるよ!」

「もう、証拠はあります。お尻のほこり何ですか?よく、コンクリートの上に座ると、こんなほこりが付きます。このスラックスを調べさせてもらいます。神社の境内の石の階段であんたと水原はたこ焼きを食べています。目撃者が証言してくれました」

谷水は、

「俺は殺してない!」

「ついでに、硝煙反応も調べさせてもらうよ!あんた、なぜ、張り込みしていたのに、硝煙反応が出る理由を説明出きる?」

「……もういい。俺が殺したのは認める。水原は子供が出来たって、脅迫してきてね」

「あなた、水原にしてやられましたね。司法解剖の結果、あんたの子供じゃ無いことが判明したよ」

「……俺もバカだな。完全犯罪ってむずかしいんだね」

「うん。じゃ、パトカーに乗ろうか」

「はい」


谷水は清々しい顔でパトカーに乗った。

「黒川さん。缶コーヒーどうぞ」と、広原が渡した。

二人は缶コーヒーを飲みながら、タバコに火をつけた。


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黒川警部の事件ファイル 羽弦トリス @September-0919

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