第5話

~彼女~


 確かに、戦争と言うものはよくない。

 ただそれは、人々が幸せに暮らしたいその為だけの物。


 でも、一部の科学力は加速し、良い未来が見えるかもしれない。

 一概にダメとも言えない。

 動物は、命を張って喧嘩する。

 

 でも人間はどうあろうか?

 弱者で愚かで、調子に乗った怠け者。


 そんな気がする。

 力は、全てを解決した。


 でも、倫理に縛られた人間はそれを拒む。

 駄目だ。


 力でなければ、解決しない平行線。


 そう力。

 

 なぜだろう。

 人は死ぬのを怖がる。

 

 なぜだろう。

 どうせいつか死んでしまうのに。


 なぜだろう。

 死ぬと言う素敵な機能なのに。


 分からない。

 死への感覚なんてどうでも良い。


 ただ死にたくない理由が分からない。

 この腐れ切った世界から逃げられるのに。

 生きていて、辛いばかりで埋もれた金塊を拾うのみ。


 金は光る。でも、微かな光だ。

 そう微か。

 拾った金を幸せと称すのみ。

 そう現実逃避している貴方。

 

 でも、悪くないと思う。

 この世界に生まれてきた理由なんてないのだから。


 生まれてきた理由などない。

 貴方が生まれてきた事は不都合でしかない。


 貴方の代わりが居る。

 そういくらでも居る。


 そういって誰も生まれなくなったら、そもそも人間が要らなくなる。


 貴方はどうするのだろうか。

 貴方の食べる食物。その命。

 貴方の老後。それを世話をする人。

 貴方の使う資源。地球を傷つけた。


 それを消費するほど、貴方は必要にされている?


 いいえ。されてない。


 貴方の生まれた理由は何?

 何もない。


 そう。何も。

 世界を変える? 変えてみろ。

 みんなを幸せにする? 人間だけ?

 幸せに生きる? 辛い事に背を向けて?

 

 最大多数の最大幸福。

 貴方はいらない。

 いらない。

 そう、いらないのだ。


 人は比べる時点で愚かそのもの。


 私は、そんな人間が嫌いだ。


 貴方が生まれた事を世界は憎んでいる。

 人間社会も何もかも。


 ははは。

 愚か愚か。


 ははは愚か愚か。


 私は、内部で殺し合う人間は大嫌いだ。


 虐め?

 勝手にすればいい。

 勝手に傷つけばいい。

 そして、命の浪費を断ってくれ。


 人は増えすぎた。

 世界を壊した。


 抗うのも好きにしろ。

 貴方を裏もなく必要とする存在なんて、居ないのだから。


 愚か愚か。

 

 未熟な精神。

 完熟なコミュニケーション。


 勝手に傷つけ。

 傷ついたお前が弱い。


 悪口も貴方がそうした。

 悪口は悪くない。


 バカバカしい事を真に受ける。

 なんて憐憫な。

 

 なんて憐憫な。

 真に面白い。

 

 お前なんて、心労して朽ちて死ぬんだ。

 生まれた事を悔いとして。


 悲しい悲しい。

 いと悲しい。

 

 あはは。

 あはは。


 抗え人間。気の行くままに。

 生きる意味がないのだから。

 

 

~蛸~


「好きです」


 もうその気持ちだった。

 それ以上いらない。

 でも、また足りない。

 足りない。

 足りない。


「もっと愛して。もっと、もっとぉ」


 そういって、布団の中、君にくっつく。

  

 君は、優しく抱き返してくれた。

 撫でてくれた。

 分厚い胸板に体を顔を埋める。

 鼓動が聞こえる。温かく柔らかい音。


 クラゲのような、触手を君の体に絡ませる。

 

 顔を上げて、君を見る。

 優しく微笑む君。

 君は撫でる。

 

 温かい。

 心が満たされていく。

 

 幸せだ。

 このままでいたい。


 温かい。


 うれしい。

 私を認めてくれた。私は居て良いんだ。

 居て良いんだ。消えなくていいんだ。

 

 でも、続く保証がない。

 怖い。


 なら。



~戦争~


「「防衛システムより警告。脅威が迫っています。ミサイル6基確認。迎撃します」」


「「防衛システムgen2より通知。ミサイルの解析結果を確認。二人称群製です」」

「「余より通知。国防レベルを引き上げ。本土全ての武装を開始。艦船を配備。空母6隻、戦艦3隻、重巡洋艦8隻、軽巡洋艦6隻、駆逐艦15隻、潜水艦10隻、戦闘機約150機、爆撃機400機です。インターネット武装も開始。防衛システムを起動。防衛システム起動を確認。攻撃システム起動開始しました。開始完了。国防システム起動確認」」


「「指揮システムの起動を確認しました。指揮システムより余に通知。兵士の人数を報告を求む」」

「「余より指揮システムより通知、現在確認中です」」


「「管理者ゆずより余に通知。金子幸羽の意識データの取得を確認しました。現在、者への移植を試みています。また、完了次第、個体識別番号、及び個体識別名称の取得を許可お願いします」」

「「余よりゆずに通知。許可。その後、下名に申請してください」」

「「ゆずより余に通知。わかりました」」



~金子~

 

 目が覚めた。でも、目が見ない。


 ここはパソコンの中?

 

「おはようございます。私は母性です」


 母性?

 誰?


「あーえーっと貴方のお子さんが作った者になります。今は人ですけど」


 あ、そんなに時間経ったの?


「そうですね。意識データ変換から数十年経ってますね」


 ふーん。で、私に何か用が有って起こしたと。所で、まだ意識データエミュレーター有ったんだね。


「それは、アメジストさんが持ってました」


 あ、あの子? 今いるの?


「いますよ?」

「そんなにミイを呼ぶでない。今、戦の準備で忙しいノデス」

「アメジストさんは相変わらずですねぇ。お久しぶりです。お母さん」

「そうだぜ、母さん」


 あれ? 水晶ってそんなキャラだっけ。


「あ、俺? 隠してたけど、こんなもんだぜ」


 ボーイッシュで良いと思う。

「えへへ。ありがとな母さん」


 で、何か言いたいか理解したから言うけど、私は戦には加担しないからね。


「そこを何とか」


 無理です。


「金子さんお願いしますよ。体作りますので」


 体?


「はい体です。とびっきり美人の体。あーあ私はほしいな」


 体?


「そうです体」


 よし手を打とう。


「で、要件なんですが、意識データと一緒に同封されていた、遺伝子データのパスコード教えてみらえませんか?」


 あーえーっとなんだっけ。あれだ。0829だったはず。


「ありがとうございます。ではこれからよろしくお願いします」



~酸化アルミニウムとクロム~


 ねぇ、サファイヤ。

 なに、ルビー。


 また鉄血が始まるって。

 あら、大変。

 

 仕事が増えるよ。

 血塗られた仕事?


 そうだよ。

 そうだよね。


 血の匂いって好き?

 サファイヤは嫌い。


 ルビーも嫌い。

 だよね。


 でも仕事だから。

 そうだね。


 また誰かを迎えに行かなきゃ。

 だね。


 この仕事好き?

 嫌いと言ったら?


 分からない。

 そうか。


 でも。

 でも?


 何でもない。

 そうか。


 好きだよサファイヤ。

 サファイヤもルビーの事好き。


 ずっと一緒。

 ずっと一緒。


 死も死は怖い。

 死も死は怖い。



~雨~


 サイレンが鳴っている。でもその音はうるさくない。


「5時の方向的4人。雨頼む」

「オッケーいっちょやりますか」


 爆風がアバターを襲う。

 ダメージが入った。


「蕾霊発動。二回目発動。スレイヤーワイト発動。武装完了。キツネさんいちゃってー!!」

「きつねえさん頑張って!! やっちゃえ!!」

「こら、うるさいよ。閼伽発動」


「このパーティってまさか、垂れ星?!」

「雨、撤退だ!」


「逃げられると思った? プリオン発動」


「「状態異常、異常プリオンを獲得しました。カウントダウンを開始します」」


「もういっちょ。浮遊改発動!」


「「状態異常、浮遊改を獲得しました。ホストは垂れ星にあります。以後行動不可」」


「「体力が0になりました。昇天します」」


 

「あーあ。負けた負けた」

「あれは仕方ないって。だって、垂れ星さんだぜ?」


 そういうのは、通話相手の勇気。


「でもあれってホント、チート見たいな効果だよな」

「まぁでも、ステータスほとんど150だし、それにレベル1だし。まぁバランスはとれてるよね」

「でもよ。おかしくね? あの従えてる妖狐、このゲームのラスボスだぜ?」

「仕方ない。それは鷹匠の強み」

「えぇ、ドン引くぜ、あれ」

「その妖狐の下限解放が厄介だよね。ダメージは通るけど、マイナスの値に行くと倒せない」

「草。それがあったわ。でもそれに敵う○藤パーティも凄いよな。あのチェーンソー強すぎワロタ」


「化け物ぞろいだね」


そんな雑談を続ける。


「「ナノシステムより通知。警報が発令されました。直ちに身を守ってください」」

「何? どうした雨?」

「いや、国防レベルがMAXらしい」

「やべーやん」


「「爆風に備えてください」」


 轟音。

 爆風。

 窓ガラスが全て割れた。


「大丈夫か? 雨!?」

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アメジスト Version.ai 生焼け海鵜 @gazou_umiu

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