第5話 初めての謎解きが実を結び
「そうか、御苦労であった!」
朝食後のデザートの柿を全て食べ終わる前に、使用人達が召集された。
「出来の良い新人を雇ったから、皆の首が繋がったのう!」
皆が一斉に坂元の方を見た。
「いえいえ、たまたま私が冷え性だったので、御主人様のお気持ちが理解出来ただけです!」
老紳士の今回の謎解き『冷たかった、あの人』は便座の事だった。
初秋になっても、猛暑が続いていたから、温熱モードはoffになっていたが、今朝は冷え、さすがにoff状態では冷たく感じられたのだった。
制限時間の短さは、次のトイレ使用時までに解決されるように、その短い制限時間さえも、有る意味ヒントのつもりだったお茶目な老紳士。
次回からの難題も、毎回、坂元が楽勝で解き、使用人達は誰一人として解雇される事は無かった。
やがて天涯孤独だった老紳士が亡くなり、お気に入りだった坂元に遺産を相続させた。
老紳士が亡くなった事で、解雇がかかった謎解きから解放されたと安堵したものの、坂元もまた老紳士の座興を引き継いだ。
イエローカードを所持数をリセットし、解雇は10枚に達した時と変更し、やはり老紳士同様、擬人法を使って孤独を紛らわせた。
老紳士の前に現れた自分のように、いつの日か、自分にも、心に寄り添って謎を次々に解くような若い男性使用人が現れる事を期待しながら。
【 完 】
御主人様の『あの人』は......? ゆりえる @yurieru
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