蜘蛛

シャドウ薄井

蜘蛛

野原に咲いた花の園、僕は一人で歩いていた。

「独りぼっち」とミツバチが群れて針向け嘲笑った。


ある日、母が糸で作ってくれた服を纏い花の園を歩いた。

「醜い姿」とモンシロが綺麗に空へ舞い立った。


ある日、僕は恋をした。この気持ちを届けに花束を抱えて歩いた。

「お前に無理だ」とコオロギが不協和音な侮辱を奏でた。


路地裏の様な先の見えない未来、希望を目指して糸をたぐりよせた。

「滑稽だな」とカマキリが僕の希望を切り裂いた。



「僕はこの先どうしたらいいの?」僕は質問した。

「わからない」と白雲が顔を曇らせ黙ってしまった。


「なんで何も言ってくれないの?」僕は質問した。

「うるさいな」と雷雲が僕に怒りを落としてきた。


「どうしてそんな態度とるの?」僕は質問した。

「嫌いだから」と雪雲が冷たい視線で僕を睨んだ。


「・・・・・・・・・・・・・・」僕は質問を止めた。

「帰ってくれ」と雨雲が大粒の唾を僕に吐いた。



「そうか、僕は嫌われているのか」僕は小さく呟いた。

「独りで生きよう」と巣を作り誰も寄せ付けない壁を張った。


「これから強かに生きていこう」僕は強く心に誓った。

「過去は捨てる」と僕の弱い心の糸がプツンと切れた。

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蜘蛛 シャドウ薄井 @ShadowUSUI

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