○Epilogue(エピローグ)2

 光は闇を照らすことはできない。

 闇は光によって作られるものだから、だ。

 そして、この部屋に充満する光も、そこにいる人物のすべてを照らすことはできなかった。闇の中に沈む、その表情が見えないのである。


「七曜浩輔……今回も、難事件を解決、か」


 男か女か――はたまた、人間か魔物かすらもわからないくぐもった声が、そう言った。

 窓際の机に座り、向かい合っているのは、ノートパソコン。

 その画面には、恐らくは、私立探偵からのレポートが映し出されているのだろう。扇家での事件の一部始終が克明に記されている。


「しかし、事態は待ったなしのようだ。『事』は急がねばなるまい……彼の残すメモが重要であることもわかったし、な」


 湯気の立ち上るコーヒーカップを手に取り、口へと運ぶ。

 カップを傾け、喉に流し込んだその液体は、コーヒー。

 その人物の心と同じ、深淵な闇を湛える、漆黒のコーヒーだった。



 【Episode1 七曜浩輔と幽霊屋敷  END】

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一週間探偵 七曜浩輔 鈴木りん @rin-suzuki

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