主人公の会そのさん。
春太「なんか……一途ですね」
隆之「だよね」
リストを読み終えた春太、隆之。
瞳也「あ?」
春太「い、いや……この、アリスさん? と上手くやっているみたいだったので」
瞳也「……そ、そうかな」
隆之「あれ」
瞳也「え?」
春太「なんか」
瞳也「なんか……なんだよ?」
隆春「「若干照れましたよね」」
瞳也「ばっ……!」
隆之「でも、すごいですよね」
春太「ええ。最後まで好きな人を守り切るっていう一貫した精神は、かっこよかったです」
瞳也「な、なんだよ急だなお前ら」
隆之「そのおかげで、大きな犠牲を伴うことにはなりましたけど……大丈夫なんですか?」
瞳也「ん? ああ、これのことか。まあ、たしかに不便だし、不安だけど」
隆春「「だけど?」」
瞳也「あいつが隣にいないよりは、不便じゃないし、不安じゃない」
隆之「はっきり言えるのすごいなあ……」
春太「僕もそう思います」
瞳也「あのなあ、褒めるだけ褒めても何もやらねえぞ?」
春太「だって、この場はお互いを褒め合うところでしょう?」
隆之「そうですよ」
瞳也「む。まあ、そうなんだが……」
隆之「それじゃあ、まとめはどうしよっか」
春太「まとめ?」
隆之「ほら、いつも神山さんが言ってるあれ。コンパクトにまとめて、それっぽく言ってるやつだよ」
春太「ああ、あれですか」
隆之「どうする?」
春太「仕返しとして、僕ら二人がやりましょう」
にしし、と笑い合う二人。
瞳也「お前ら、なにこそこそ話してんだよ」
隆之「ようするに、神山さんはとんでもなく不器用で、素直じゃないんです」
瞳也「本当になんだよいきなり」
春太「でも、その実、とんでもなく単純で、一途で、自分の心を信じている。だからこそ、一つのものを必死に守ろうとすることができる」
瞳也「怖いぞ、お前ら……」
隆之「そういう神山さんの一所懸命なところが、アリスさんの心を救ったんだと思います」
春太「自分のほうが暗い世界にいて、怖い目にあって、ひどい傷を負っているのに、それでも心は変わらない。変わるわけがない」
つまり、と二人は続ける。
隆春「「神山さんは、眩しいんです」」
瞳也「……な、な、な」
隆之「?」
春太「どうしたんですか?」
瞳也「だぁ~~~~もう! さっきからおかしいぞ、お前ら!」
隆之「あ、」
春太「怒った」
瞳也「これはなんだ、辱しめなのか、辱しめなんだな!」
隆之「まあ、なんていうか」
春太「仕返し? っていうのかな」
瞳也「……まあ、」
隆春「「?」」
瞳也「ありがとな。気持ち悪かったが、気持ちは良い」
隆春「「……」」
瞳也「なんだよ、そのきょとんとした顔は」
隆之「っぷ」
春太「は、ははは!」
瞳也「な、なんで笑うんだ?」
隆之「い、いや」
春太「独特な人だな、と思って」
瞳也「……ったく」
隆之「そういう神山さんも、笑ってるじゃないですか」
春太「あ、ほんとだ」
瞳也「うっせえ」
十分後
隆之「これで終わったんですよね?」
瞳也「あのへんな快生物(?)の言うとおりなら、そのはずなんだけどな」
春太「でも、現れませんね」
???「はいはーい、登場しましたよっと」
隆春瞳「「「なんだこの黒いもやもやした気持ち悪い奴っ!?」」」
???「それ、さっきも言われたんだけど、お前らバリエーションないのかよ……。ま、いいや。それより、なんでテメエらは帰れるって勘違いしてんだ?」
隆之「へ?」
春太「え?」
瞳也「は?」
???「ちゃんと司会者の話は聞かなくちゃいけねえだろうに。オレ、帰すなんて一言も言っちゃいねえんだって。なんかデジャブだなチクショウめ」
瞳也「よし」
???「無駄だっつうの。ゼロからゼロで引いても変わらねえってわかんねえのか? いや、教えるべきなのはオレか。ていうか、これもデジャブだな。ここにもあっちにも同じ奴がいるとは思わなかったぜ。まあそれもいいや。
言ったろ? これは、『最初の議題』って」
瞳也「あ、ああ」
隆之「言われてみれば……」
春太「たしかに」
作者「これから回想挟みまーす」
???「てめえらは全員、ある物語の主人公だ。そのうえでオレが司会を務め、いくつか議題を提案し、おまえらにそれを話し合ってもらう。ま、簡単なディベートさ」
春太「ディベート?」
隆之「何が目的なんだよ」
???「目的なんざねえさ。これも偽物神様の気まぐれってね。ってことで、まず最初の議題が──」
作者「回想しゅーりょー」
隆之「言ってたわ……クソ」
???「クソなんていうクソみてえな言葉は遣うもんじゃねえぞ。──で、次の議題がな」
作者「ご、ごくり」
瞳也「なんでお前が唾呑み込んでんだ」
???「お前らそれぞれが持つ、世界観の違いだ。どういったところが共通していて、どういったところが異なるのか。それを話し合ってもらう」
作者「なるほど……それはたしかに気になる」
春太「ちょっと作者は引っ込んでろ」
隆之「世界観の違いって……うーん」
???「安心しろ。きちんと比較対象は追加しておくからよ」
瞳也「──は?」
春太「今、なんて」
隆之「追加、するって言ってなかった?」
???「ああ、もちろんよ。だってお前ら三人だけじゃ、大して面白い違いが出そうにもないしな。だから、さらに三人追加だ!」
ボンっ! と煙が現れる。
そこから、三人の主人公が!
静岡「うわっ!」
藍沢「ど、どこだここ?」
神田「おい、いま月見バーガーを食べていたところだったのだが」
作者「つづく」
紅物語 静沢清司 @horikiri2
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