冬の熱
汲泉虎明
第1話 喫茶
午後7時。スマホの振動で目覚めた。「会いたい」って、どこに行けばいいのか。自然と口角が上がる。「いいよ」。
駅へと急ぐ僕の前を北風が
交差点で信号待ち。君は一人で待ってる。夢で見たのと同じ真っ赤な口紅が真綿の肌に映えている。思わず手を振った。
あのカフェに入る。あっさりとしたケーキと香りの良い紅茶。
不意に、君が手を重ねてきた。二人とも
「行っていいの?」
君は唇の蕾を閉じたままだ。真綿のような肌が
「もちろん行くよ」と言う他ないのだから。
ちょっと悔しい。彼女の家へのいつもの道を歩きながら、ふとそう思った。あんな表情見せられたら負けに決まっているじゃないか。これではまるで、僕だけが発情しているようじゃないか。今日は、ちょっと焦らしてやる。
そう思っていたのに、部屋に入った途端に抱きついてくるなんて反則だ。せめて強がりくらいさせて欲しい。
耳元にかかるお互いの息が熱かったのは、きっと冬の風に晒されて、風邪を引いたからだ。肌全体が熱を帯びたのもきっとそのせいだ。だから暑さに耐えかねて二人が服を脱いだのだって仕様がないのだ。
部屋の中とはいえ、気温は低い。薄暗い部屋の中で二人は抱きしめあった。触れ合う肌が融け合い、一つになって熱が宿る。黙ったまま、顔を近づけ、
君の肌は薄明かりの中で鈍い青みを湛えて、大理石のように滑らかな曲線を描いている。僕はたおやかな曲面に指を走らせ、二つのたわわな丘を見つけるとゆっくりと掌中に収めた。ゆっくりと力を込めて、ふんわりとした胸を、その先の突起を撫でる。君が少し声を出す。いつもとは違う、声帯を快楽に縮めた
不意に、しなやかな感触が僕の下腹部を襲った。ゆっくりと這って、下へと降っていく。やがてすでに熱せられた鉄の棒のような僕のモノを見つけると、ゆっくりと包んで上下しはじめた。
負けていられないと、僕は唇を胸に這わす。君の乳首はすでに固い。僕は口に含むと、舌で転がし始めた。君の皮脂が
「僕の、舐めて?」
カッコ悪い。こう言うことをしているから勝てないのだ。彼女は下腹部を僕の顔の上に載せて、ゆっくりと口に含んだ。一瞬で体が跳ねそうだ。気持ち良すぎる。生暖かい肉が、浮き出た血管の一本一本を、切り立ったカリの縁をなぞっていく。一際ふくらんだ亀頭を舌で包んで、転がしていく。君の細い指はその間も上下を止めることなく責めてくる。
流石にすぐにイかされるのは、男の名が廃ると言う奴だ。僕も負けじと、自分の指を舐めて唾液に浸すと、目の前に突き出された彼女の薔薇を撫でた。もうすでに蜜が溢れそうだ。花弁の一ひら一ひらが、蜜を絡めて光っている。僕はゆっくりと指を差し入れ、お腹の方をさすった。一瞬、君の動きが止まった。しかし次の瞬間には、感じたことのない感触が僕を襲った。思わず頼りない声が出てしまった。精を吐き出そうと縮み始めた袋を舐めてきたのだ。負けていられない。僕の指は蜜を掻き出すように激しく動いた。そして溢れた蜜を舌で舐め取る。花弁の中に隠れたクリトリスを舐めると、君は一際大きく啼いた。お互いに余裕がない、本能のままに食い散らかしていく。遂に僕は指を差し入れたまま、舌を奥深くへと潜り込ませた。同時に彼女はすでに腫れ上がった亀頭を激しく撫でた。お互いに吐息が混じる。その熱すら愛おしい。「ウッ」という声にならない声と君のそれとが重なる。君の膣は萎縮し、舌と指とを淫らに刺激した。僕のモノも同時に大きく脈打ち、彼女の口内に精を放出していく。1分ばかりそのまま動けなかった。いきなり、彼女は体位を変え僕の口を唇で塞いだ。舌が絡まると同時に、愛液と精液とが混ざる。しばらくお互いに貪ったのち、飲み込む。
そしてまた
お互いに首筋に
「挿れるよ」君が頷いた。ゆっくりと花弁に這わせ、その中心を見つけると腰を押し出す。襞を掻き分けるたびに、甘い刺激に脊髄が悶える。意識に反してずっと声が漏れてしまう。やがて奥へと辿り着くと、しばらく抱き合った。お互いの鼓動を確かめ合う。だんだん、彼女の膣が密着するのを感じ取り、僕は動き始めた。
そこからは本当にお互いに人間の
「だめ、顔見ないで、まだイヤっ...!」
やっと口を開いたことにすら気を留めず、僕は手で彼女の鼻と口を塞いだ。彼女の意識が遠のき、果てたのがわかった。しかし僕の腰は動きを止めない。何も考えられない。
体位を変え、後ろから突き上げる、カリが襞に引っ掛かって、強烈に僕を惑わしていく。全身を快楽が駆け巡っていく。もう体全体が性感帯になってしまっている。彼女の口に指を差し込むと彼女は食んだ。指に歯の赤い跡が残る。最高の指輪だ。その痛みですら快感に変わる。
子宮口が降りてきているのがわかると、自然に腰を打ちつけるスピードが速くなる。
正常位になり、お互いに向き合う。快楽に支配され、涙、涎、汗でぐちゃぐちゃになった顔を見て可愛いと思った。その瞬間、僕たちは下腹部に沸き起こった強烈な快感に脳天を貫かれるように、果てた。脈打つモノを膣中が搾り取るように躍動し、締め上げる。ありったけの精子がいつもより長い時間をかけて放たれた。その間にも快感は休むことなく与えられ、脳は完全にショートした。
治ると、二人はまた動き始める。夜はまだ長い。まだ足りない。何回も何回も、打ちつけては果てる。汗が滴る。このシーツを濡らしているのは二人の愛液なのか、汗なのかすら分からない。
躍動する、一つの生物のように融け合った二人は、はにかむ闇の中をゆっくりと眠りの森へ沈んで行く。ただ吐息だけが全てを物語るように永遠と続いていた。
目覚めた時、横にいたのはいつも通りの君だった。違うところがあるとすれば、お互いの首筋に、キスマークが鈍い赤みを差していたことくらいだ。
瞼に
冬の熱 汲泉虎明 @husan0625
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