変わっていく…

遠田 郁海

妬み

「こいつすげぇ」一番最初に思った。


中学3年生の夏、最後の体育祭が終わり卒業に向けてクラスは良い雰囲気だった。


一回目の進路希望調査の紙が配られた、それを見ると中学生が終わると感じる。特に何も無い三年間に後悔すらなかった。いや、まだ二年半か。

頑張ってキャラを作り好感度を保つのにどれだけ苦労したか、なのにこいつはなんでなんだよ。


「横浜から転入してきた西尾美都です。好きな食べ物はサバの味噌煮で趣味はギターを弾くことです!」


もうすぐ進路相談が始まるって時期に転入してきた。

転入生だけがテンションが高いという1番あってはいけない空気が流れた。いやクラスのみんなも頑張って盛り上げたのにそれ以上に転入生のテンションが高かった。


「じゃあ西尾は瀬尾の隣な」 担任のゴリが言った。


「なんで俺の隣なんですか!」と言い終わる前にゴリが俺をにらんできた。


「よろしくね瀬尾くん!!苗字似てるね!」耳が痛くなるほど高い声で話してくる。もちろん聞こえないふりして無視をする。


朝のホームルームが終わりチャイムがなるとすぐにたくまの席に走っていった。


「俺ってほんとに運ないよな、」落ち込んでる俺にたくまは言った


「美都ちゃんの隣なんて最高じゃん!」嘲笑うように話すたくまの顔を殴ってやろうかと思った


でも、

見た目は俺のタイプなんだよなー、そう思いながら席に戻ると西尾がまた話しかけてきた。


「瀬尾くん!昨日のイッテQみた?!!」

いや、いまさっき挨拶終わって席に着いた転入生が話す内容じゃないだろ。たしかに、昨日の回は面白かった。


「うるさい」


チャイムがなり授業が始まる。自分で言ったことを後悔した。これが中学二年半のうちの大きい後悔だったかもしれない。

後悔した俺は隣にいる西尾を見ることができなかった。

どう謝ろう。てかあいつが変人なだけだろ、別に無駄に関わる必要無いよな。でもこれが登校拒否になる理由になったらどうしよう。


「瀬尾ー、この問題解いてみろ」

え??何も聞いてないやばい。


「2X+4だよボソッ…」


「はい!2X+4です!」

聞こえてきた言葉を答えた


「おぉーよく答えれたな、ボーッとすんなよ」


誰だ、あの時つぶやいてたやつ、周りを見たら西尾と目が合った。ごめんって謝るつもりだったのにありがとうって言っていた。


休み時間になると西尾の席の周りに人が集まってくる。クラスの陽キャ女子が率先して話の主導権を握り大声で話している。いい迷惑だ。


笑顔で質問に答える西尾の顔は割といい顔だった。

でも悔しい。俺が二年半作り上げた好感度を一気に超えていた。

「おい瀬尾、美都ちゃんに惚れてんじゃねーよ」俺の膝の上にどっしり重いものが座ってきた

たくまは既に西尾に一目惚れしていた。それも悔しい。

「美都ちゃん人気だよなー」


「転入生だからだろ。明日にはこの人気なくなってるわ」


「俺がいるから美都ちゃんは一人にならないけどね」


「きもちわる」


胸を殴られた。


俺には唯一自慢出来事がある。足が早いこと。

体育の時間になると、だるーと言いながらウキウキしている。

六時間は体育だった。

「100m測るからなー」

そう言いゴリは校庭に向かっていた。


「よっしゃっ!相田に勝ったぜ」

俺と争うやつに勝ち気分がよかった


なのに...


「おぉ!」 「おぉー!」クラスメイトが大声を上げている。中心にまたあいつがいた。

何事かと見に行くと、俺よりタイムが早いと騒いでいた。

「たまたまだよー」 「調子が良かった」

ふざけたことを言っていた


怒り狂った。妬んだ。



※これは恋愛小説です。よくある恋愛のストーリーかと思いますが、ここから恋に発展する過程は面白いはずです。感想が欲しいのと次の話も読んでもらえるとありがたいです。






































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変わっていく… 遠田 郁海 @etoxxx

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