第9話婚約披露

「疲れた?」

「少しね。でもとても楽しいわ」

耳元で心配そうに声を掛けてるくるギャランに、微笑んだ。

今日は待ちに待った婚約披露パーティー。

さすが帝国と思わせる素晴らしいもので、挨拶をする方々も数多く大変でしたが、ギャランが常に手を握り側にいてくれたおかげで幸せだった。

「あら、あそこにいるのは、ココット様だわ。前の国では、ちゃんと挨拶出来なかったから行ってみましょうよ」

「ああ、そうしようか」

まだ、8歳という幼さの為と、このような大きな祝いに出席したのも初めてのようで、お供がそばにいましたが、可愛いくらいに挙動不審でした。

「ココット様。お久しぶりです」

「・・・あ、お久しぶりです。スティングレイ様。こ、この度はおめでとうございます」

「ありがとうございます。噂でセルボ様はご病気と聞きました。如何ですか?」

「・・・!!」

何故か酷く動揺し、ギャランを見た。

ギャランが何かしたのは分かっていたが、何か、は聞いてはいない。

聞いたのは、

王と王妃は自分達の過ちを認め、王座を譲り、平民の気持ちを知りたく城を出た。

第1王子セルボ様は、酷い病いを患い寝たきりだ。

第2王子ヤリス様は、自分には王位は重すぎると、出家した。

第3王子セルシオ様は、王位の重圧に精神がおかしくなったという。

第4王子シャトル様は、失踪し行方不明だという。

残った第5王子ココット様が、王位継承をした。

あまりの幼い為、後ろ盾に帝国がついている、と聞いた。

「ココット様?セルボ様のお加減が宜しくないのですか?」

「あ、いえ!その様な事はありません。・・・変わらず・・・です」

「そうですか。もうお会いする事はありませんが、早く治るように祈っております」

「ありがとうございます」

「スティングレイ、少し飲み物貰おうか。もう話はいいだろ」

「そうね。では、ココット様、頑張ってくださいね」

「ありがとうございます」

お互い軽く会釈し、離れた。

「ココット様を見て思い出したんだけど、この間街に買い物に出た時に、プラド様とルミナス様にそっくりな人がいたの」

「へえ。世の中似た人が3人いると言うからそれじゃないか?あいつらを、あの国から俺が出させる訳ないだろ」

「そうね。貧民街の方に歩いていっていたもの、違うのわね」

「ココットに合わせたから、嫌な思い出を蒸し返したんだな。やはりあの国は邪魔だな」

「何?何か言った?曲でちゃんと聞こえなかった」

「いいや。何飲むのか、聞いたんだ」

「じゃあ、オレンジジュース」

「いつまでも子供だな」

「ふふっ。いいのよ。ギャランと一緒にいる時は」

「ああ。俺はスティングレイの為ならなんでもするよ」

優しく微笑むギャランに、私はとても幸せだった。

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婚約破棄ですか。ええご自由に。私は貴方様にとって悪役令嬢のようですからね さち姫 @tohiyufa

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