第46話 青い炎で、浄化せよ。

「全く、なかまはずれかよ」

青嵐は、毒気づいた。成徳と聚周が引き連れて来た行軍は、瑠璃光と紫鳳が目の前で、消えると、刃の刃先を、青嵐達に向けたが、龍殿河の主達と、聖域に逃げ、事なきを得た。

「全く。。。どこに、逃げたんだよ」

青嵐は、ため息をついた。

「おそらく。。幼い頃過ごした皇宮かと」

梨王が、そっと言う。

「彼が、行きたいのは、そこだと思います」

青嵐は、瑠璃光の過去を知らない。

「皇宮?」

「細かい事は、本人に聞きなさい。全く、人は、酷いことをする。我々に、生贄を用意し、力を借りようとしたのは、皇宮の人達なのに」

「それは、本当なのか?」

青嵐の眉が、跳ね上がる。

「人が作った伝説だ」

梨王は、青嵐に、紅い玉のついた髪飾りを渡した。

「役に立つ時が来るかもしれない。持っていきなさい」

青嵐の掌に、載せると、赤い玉は、何色でもない透明に変わった。

「妖物に触れると赤くなる。少しずつ、妖気を吸い上げるんだ。それは、やがて、薬になる。多くの妖物から、吸い上げた妖気がやがて、薬になるんだ」

青嵐が、つまみ上げても、髪飾りの玉の色は、変わらず、透明に陽の光を受けて輝くだけだった。

「君には、必要ないけどな」

「早く、いきましょう」

阿が、青嵐を急かす。

「皇宮なら、わかるから、任せろ」

吽は、青嵐の着物の裾を掴んだ。

「世話になる」

青嵐は、梨王に、皇宮に近い場所まで、案内されると、軽く礼を言うと別れ、夜間に、侵入する事にした。

*       *     *     *     *      

「紫鳳!」

瑠璃光は、体内で蛟の毒に侵されながら、紫鳳を呼び寄せた。痛みは、体全体に広がり、冷や汗が出ている。意識は、朦朧としているが、発熱は、まだ、ない。これから、熱が出てくるかもしれない。紫鳳は、埃だらけの寝台に、寝せた風蘭を横目で見ながら、寝台に寄りかかる瑠璃光に水を差し出した。

「風蘭の様子は?」

瑠璃光は、自分の状況をさておいて、風蘭の様子を心配していた。

「さっき、漢薬を飲ませてお陰で、落ち着いて寝ている」

紫鳳は、首を振った。

「助ける必要が、あるんですかね」

「ある・・・」

瑠璃光は、間髪入れずに返事した。目を見るだけで、余計な事を言ったと、紫鳳は思った。

「青嵐は、まだか?」

「すぐ、追いつくと思います。迎えにいきますか?」

「いや・・・・風蘭に何かあったら、困る。いてくれ」

紫鳳への返事は、いつになく、自信のない瑠璃光の声だった。

「紗々姫は、すぐ、来るはず」

「紗々姫の力だけでは、だめだ」

瑠璃光は、厳しい顔で言った。

「青嵐の炎が必要になる。私達だけの力では、この毒も、術も解けない」

「青嵐しか、持ちえないと」

「あいつしか、できない」

紫鳳のように、式神の力を持つ訳でなく、炎を操るだけで、あったが、瑠璃光が同行を許していたのは、そんな訳があった。

「力としては、小さな力だが、威力は大きい・・・」

そう言い終わらないうちに、瑠璃光は、言葉に詰まり、

「ごぼっ」

と、血の塊を吐いた。

「瑠璃光!」

声を上げたのは、そこにいた紫鳳ではなかった。

「!」

怒りの顔で、現れたのは、紗々姫。妖の姫の姿だった。

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