第31話 失った守護剣は何処?

「ちょっと、待って」

青嵐は、様子を見ていた青嵐は声を上げた。

「瑠璃光は、知り合いって事?」

瑠璃光は、青嵐の声かけに目を逸らした。

「聞いたか?」

「嫌。。。」

確認したかと聞かれると、そうではないが。

「色々、ここには、因縁があってね。」

「お会いしたのは、あの事があった時以来で」

「ふむ。」

紫鳳は、何かを感じたらしく瑠璃光の肩に触れた。

「来る」

瑠璃光は、頷き、水面のはるか向こうを見つめる。

「誰が、出てくるかは、分からなかったが」

梨王も振り向き、瑠璃光と同じ方向を見つめる。

水面が、ザワザワと泡立つ。空に飛び立つのは、瑠璃光や梨王ではなく、紫鳳だった。背から伸びた長い翼が、空をきる。

「変わらず、荒れているな」

「そうなんです。誰も、彼を止められない。あの日から」

「2本の剣も、朱雀の剣を呼び戻す事はできなかった」

梨王に瑠璃光は答えた。

「陽の元の国に、妖器を集めている姫が、いると聞いたが、そこにはなかった」

「以外な所にあるのかもしれません」

瑠璃光は、次の動きに備え香袋に手を忍ばせていた。水面が、盛り上がり、その力が沸点に差し掛かった時、紫鳳の体は、盛り上がる水面の頂点にあった。

「でた!」

青嵐も、構え、水面に躍り出ようとした時、天から光が走り、水面が割れた。

「出るな!」

瑠璃光は、同時に叫び地を蹴った。光が、水面に届くと同時に、現れたのは、全身が赤黒く血に輝く、翼を持つ龍の姿だった。

「紫鳳!」

瑠璃光は、紫鳳と入れ替わるように、召喚したが、拒否されてしまった。

「だめだ!」

紫鳳は、首を振った。

「かなり、怒り狂っている」

来るなと紫鳳の目は言っている。梨王は、察したのか、水面を操り、紫鳳のいる高さまで、水流を押し上げた。自分が、その先端に飛び乗ると、紫鳳に先ほど、瑠璃光から返してもらった青龍の剣を差し出した。

「気休めにしか、ならないかもしれませんが」

青龍の剣を、手にした紫鳳は、剣先を眉間に突き立てようとした。

「いかん!」

瑠璃光は、叫び香を紫鳳に投げつけた。

「嘘だろう?」

紫鳳は、翼を失い水面に落ちていった。それを確認すると、紫鳳を召喚し、自分と位置を入れ替えたのだった。

「瑠璃光!」

水面に落ちていく瑠璃光。地上に戻った紫鳳は、再度、飛び立とうとするが、赤黒い龍は、水面に落ちていく瑠璃光を、口に咥えてしまった。

「待て!」

梨王は、叫ぶと、瑠璃光を加える赤黒い龍の顔面に、飛び上がった。

「目を覚ませ」

掌から、光の矢を繰り出し、赤黒い龍の顔面に突き刺していき、宙で体を反転させる。その隙を見て、瑠璃光の香が、辺りに満ち、視界が少し、曇ると、地上に降り立つ瑠璃光の姿が見えた。

「姿を現せ!」

梨王が、立つのは、赤黒い龍の頭上。

「朱殷(しゅあん)」

呼び名を叫ばれ、赤黒い龍の封印が解かれた。

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