第3夜

【ショッピングモール】

 僕は職場の上司を迎えに行った。

 「お迎えありがとう。そういえば君のお父さんも来ているよ。案内しよう。」

 そう言うと、その上司はショッピングモールの中を歩いていった。

 かなり広いモールだったが、途中、大きな玩具屋があることに僕は気づいた。店先には、僕が子供の頃に売っていたミニカーやプラモデルが棚に並べられており、思わず立ち止まってしまった。僕は大胆にも、上司に待ってもらい、数ある商品の中から、黄色いトレーラーのミニカーを買った。

 ショッピングモールを通り抜けると、なぜか土手の上に出た。夏祭りが開催されているらしく、子供連れの客が多い。

 「久しぶりだな。」

 父に声をかけられた。

 「車で来たのか?免許をとってからどれくらい経つんだ?」

 「車では来てないよ。そうだね。10年以上は経つかな。」

 そう言って僕は先ほど購入したミニカーを渡した。

 いつの間にか、上司の姿は消えていた。


【コメント】

 私の父は数年前に亡くなった。亡くなるまでの数年は会っていなかったので、夢の中とは言え、約6年ぶりに会話を交わしたことになる。

 途中の玩具屋にあったのは、すべて私が子供の頃の懐かしい玩具だった。もっと欲しいものはあったはずなのに、「僕」が黄色いトレーラーを選んだのはなぜだろうか。


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「影」との対話 @takonomakura

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