第2話 ケモミミ幼女、コン様見参!(4)

 事情を説明すると、ケモミミ幼女は首を傾げ何かを考え込む様に目をつむると「ふむ、そういうことじゃったか…」と、一人何かを納得したかと思えば、こちらをまっすぐに見つめてくる。


 よせやい、こんな美幼女に見つめられると照れるじゃないか。


 時間にして五秒くらいだろうか?ひとしきりケモミミ幼女と見つめあうと、一度「こほん!」と咳払いをすると彼女は口を開いた。


「ふむ、何となく事情は理解したぞ!ええと…毎年この時期になるとハルが来てくれるのじゃが、今年は怪我が理由でこれなかった…と。んで、おぬし、四季といったか?が代理でやってきたということじゃな?」


 まあその通りである。実際にばあちゃんに頼まれてというより自発的に今年は俺が代理で来たのだ。


 またも頷き肯定する。


 するとケモミミ幼女は頭に付いてる立派な耳をピコピコと動かして、無い胸を反らしてドヤ顔で得意げにこう言った。


「よく来たの!ワシの名前はコンじゃ!この夜桜市を守護しておる…いわば土地神のような物じゃ!まっ、見習いじゃがの!」


 いきなり神だとか何言ってんだこいつ?と思ってしまうがこのくらいの年齢の子供ならそういう妄想というか、アニメやゲームの影響を受けてても仕方がないよな。


 と、心中で思っているとそれが表情に出てしまったのかケモミミ幼女に訝しげな視線を送っているとそれに気づいたのか、コンと名乗るケモミミ幼女はこちらへ詰め寄るといきなり俺の腰へと腕を回し抱き着いてきて、みぞおちの辺りにおでこをぐりぐりと擦り付け、上目遣いでこちらを覗き込んできた。


 しっかりとした質量があるが、それでも華奢なその体躯を受け止めると、女児特有の柔らかさというか、肌のプニプニ感というか…その、柔らかかった。


「う~…おぬし…信じておらぬな…?」


 ぱっちりと開いた双眼に覗き込まれると、身動きが取れなかった。


 いや、実際がっちりと抱き着かれてしまっているので、動けないのだけどそうじゃなくて、指先一つ瞬きすらもすることができなかった。


「どうじゃ、体が動かぬじゃろう?なーに、取って食いやせぬ…ちょっとだけワシの力を見せてやろうと思っての…?これが金縛りというやつじゃ!」


 金縛りって…寝てる時に起きる睡眠障害の一種って聞いた事があったのだけど、どうやらそれとは別のものらしい。


 実際に体験してみると、意識はあるが自分の身体を操れないというのは、脳から身体へ「動け!」と命令を出しても、その命令を強制的に壁で遮られて器官に届く前に立ち消えてしまうような不思議な感覚だ。


 金縛りにあってた時間自体は数秒程度だが、その効果を実感すると神だ何だと言ってるのにも多少は信憑性があるかもしれない。


 ただ完全には信用できん。


「っ…はぁ…はぁ…」


 ケモミミ幼女が腕を離し一歩後ろへ下がると、金縛りの効果が解除されたのか、体の自由を取り戻し、緊張して強張っていた身体から一気に力が抜けた。


 その場にへたり込む様に膝から崩れ落ちると、ケモミミ幼女と目線の高さがあった。


 少しだけ前屈みになったケモミミ幼女は再びこちらの瞳を覗き込むと得意げに言い放つ。


「どうじゃ?少しは信じる気になったか?」


 ドヤッ、と口元を猫の様に緩ませるとフサフサの尻尾を左右に揺らし、手を握りグーの形にして腰に当てる。


 勝ち誇るかのように胸を反らしてふんす、ふんすと息巻いている。


「と、とりあえず何をしたのか分からんが…変な力があるのは分かった。それより、その耳と尻尾…それもやっぱり神様っていうなら本物なのか?触ってもいいか?」


 先ほどからずっと気になってはいた。


 よく観察してみると、時折ピコピコ、フリフリ、とコンの動きに合わせて揺れ動いている様だ。


 さっき抱きつかれた時に近くで見るとしっかりと音も拾っている様子だし、何より直接頭皮から生えているその耳は飾り物には思えなかった。


 そう言うとコンは少し照れ臭そうにはにかみながらも「ん!」と額を突きだしピコピコと揺れ動く耳を差し出してきた。


 長くきめ細かい毛で覆われたフサフサの耳はとても手触りが良く、毛に触れるとスルリと指の間からこぼれ落ちる様にほぐれていく。


 先っぽから根本にかけて指先に力を入れずにスーッとなぞると「んっ...!」と、色っぽい声を溢し、くすぐったそうにしていたが構わず耳の付け根の辺りを親指と人差し指で摘まむ様に挟むとビクン!と身体を震わせる。


 こいつ、反応がいちいち面白すぎる!


 少しいたずらしてやろう!


 そんな邪な考えに則り、付け根から指を離す。


 ついで間髪入れずに手のひらを返して人差し指と中指を交互にウネウネと動かし、耳の先端辺りを触れるか触れないかくらいの絶妙な距離で愛撫する。


 またもコンは「んん...っ!」と瞳を細めて身体を震わせる。


 そして、触れるか触れないか絶妙な距離を保ちなから今度は耳の内側のフサフサを...と、思った矢先。


「こ、このたわけぇ...!さ、さっきから妙な触り方をしてぇ...うぅ...」


 気づけば、ケモミミ幼女ことコンは涙目になっており、頬の紅潮と「フーッ!フーッッ!」という短い吐息も相まって、艶かしい雰囲気を醸し出していた。


 流石に悪ふざけが過ぎたか?と少し反省していると、コンは俺の方を上目遣いで覗き込んでいるかと思えば…。


「…ところで、おぬしらは誰じゃ?」


 と、俺ではなくその後ろの方へと問いかけていた。


「あー…四季ちゃん?その…言いにくいんだけど、犯罪はダメよ?」


「うわー…ニートみたいなもんだと思ってたら、犯罪者だったかーだりー…」


 俺は慌てて振り返るとそこには、筋骨隆々でごつい体系だが妙にしなを作ってくねくねしているオカマと、心底呆れた表情と、完全にドン引きしているダルそうな顔をしたギャルが立っていた。


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