詩『泪』

渡辺羊夢

詩『泪』

 泪を流せるってことはすごいことだ

 地球上のほかのどんな生き物も

 人間ほど泪を流すことはないだろう


 色んなときに

 色んな気持ちを抱えて

 人は泪を流す


 おかしいとき

 人は泪を流す

 こんな殺伐とした時代だから

 おかしい話に腹を抱えて泪が出るほど笑いたい


 かなしいとき

 人は泪を流す

 やりきれない気持ちで一杯になるくらいなら

 泪と一緒にかなしい思い出も流してしまいたい


 うれしいとき

 人は泪を流す

 ちょっと恥ずかしいけど

 誇らしげに胸を張って泪の意味を噛みしめたい


 空から降る雨がこの大地に染み込んでいくように

 どれだけの泪がこの地球上に流れ落ちたことだろう


 空から降る雨が新しい命を育むように

 どれだけの泪がこの地球上を潤したことだろう


 だれかの流した泪が

 だれかの乾いた心を潤していくような

 そんな世界に僕は生きていたい

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詩『泪』 渡辺羊夢 @watanabeyomu

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