中秋の名月に告白すると必ず成功するという言い伝えを信じて告白します!

猫と犬が好き

第1話

 今日は中秋の名月。わかりやすくいえばお月見。


 なので俺は縁側で満月を見て楽しんでいると。


「うわっ。お兄さんジジくさ! 」


 聞き慣れた声がしたので見ると隣の家に住む月山陽奈乃つきやまひなのがそこにいた。


 月山はミニスカート、縞ニーソ、Tシャツという服装をしていた。


「うるせ。ニートが何のようだ? 」

「うわっ、ひっどーい!せっかく彼女がいないお兄さんと一緒にお月見しようと思ってきたのに! 」

「彼女いないのは余計だ。お前はどうせここにある饅頭が目当てだろ? 」

「……そんなわけないじゃん」


 いやそこは嘘でも俺の目を見て言うところだぞ?


 そんなことを思っていると。


「ところでお兄さん。なんでお月見なんかしてるの?お兄さんの部屋に飾ってるタペストリーなら書いてあるような可愛いウサミミの女の子は落ちてこないよ? 」


 俺の隣で饅頭をモグモグ食べながら俺に訊く。


 なんか小動物が食べてるみたいで可愛い。


「いつも曇ってたりしてお月見できてなかったからやっただけだが? 」

「そうなんだ。私はてっきりウサミミの女の子が落ちてくると思い込んで月を見てるのかと思ってた」

「そうかい。日ごろお前がどんな目で俺を見ているのかがよーくわかったよ」


 俺たちは軽口を叩きながら満月を見る。


 そして饅頭がそろそろ無くなりそうになった頃、月山が立ち上がり真面目な口調でこんなことを俺に話す。


「ねえ、お兄さん。中秋の名月の時に告白すると100パーセント成功するっていう言い伝えがあるの知ってる? 」

「聞いたことないな」

「そうなんだ」


 月山は深呼吸をして続ける。


「私、実を言うと好きな人がいるんだ。その人は二次元が好きすぎるし、その……えっちなゲームを平気でイヤホンをしないで私の目の前でやるデリカシーのない人なんだけどさ。私のことをちゃんと見てくれるし、ニートになった私を蔑むことないんだよね」


 そうゆう優しい人もいるんだな。世界は広いな。


「しかも、その人はイケメンで優しいからモテるんだよね。本人は気づいてないけど。だから今日安心したんだよね。1人でお月見してたからさ。多分とゆうか絶対女がいたら私、泣いてたかも」


 もしかして……。


「だからさ。お兄さん——月有陽太つきありようたさん。私と結婚を前提に付き合ってくれませんか?ニートでお荷物な私だけど。お願いします」


 月山は俺の方を向いて頭を深く下げる。


「……女性に告白させるとか断れねーじゃん」

「!じゃ、じゃあOK?付き合うってこと!? 」

「そうだな——陽奈乃、これからよろしく頼む」

「はいっ! 」


 陽奈乃の嬉しそうな顔が月の光に照らされた。


 〜後日談〜


「ねえ、昨日言った中秋の名月の言い伝え、あれ嘘だった」

「だろうな。そんなことあったらカップルクラスターが起こるわ。気になってるんだけどそれはどこ情報?」

「私のお母さん……。私と陽太をくっつけさせるためって」

「そうか」


 俺はそんなことを言いながらエロゲーを進める。

 イヤホンをつけないで。


「……ねえ。その、えっちなゲームやるのやめてよ。その……なんかイラつく」

「そんなこと言われても」

「私がいるんだからさ……///」

「!! 」

「今日私が高校の時着てた制服持ってきたよ……///」

「!!! 」


 陽奈乃はベッドの上で可愛かった。

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