第四章〈王太子デビュー〉編

勝利王の書斎04「サラダについて話す」

 第三章が終わり、第四章が始まる直前である。

 は、歴史小説の幕間にひらかれる。


 Bonjour、またはBonsoir!

 ここまでお読みいただきありがとう。作者のC・クラルテである。


 さて、困った。書くことがない。

 だが、最低限の役目を果たさなければ。


 この物語における「語り手ストーリテラーのポジション」を再確認する目的で、各章の境界にこのようなページを設置している。


 この物語は、私の回顧録である。

 ある時は、若かりし自分の心境を思い出しながら、またある時は、神のごとき視点で世界を俯瞰し、過去を回想しながらこの物語を記している。


 現在、作中の私は14歳の少年だが、語り手の私は生まれてから618年目。

 いい歳こいたジジイである。

 1403年生まれで、これを書いている今は2021年らしいからな。


 私の肉体はもう存在していない。

 読者諸氏の頭の中で、好きな容姿を想像していただいて構わない。

 かわいらしい純朴な少年でもいいし、いけ好かない枯れたジジイでも可だ。

 あなたはどんなシャルル七世がお好みかな?


 さて、今回のサブタイトルは次のとおりだ。


 "Raconter des salades."


 フランス語の慣用句で、直訳すると「サラダについて話す」

 その意味は、「ごちゃまぜの話、でたらめを話す、嘘八百を並び立てる」


 すなわち、この小説のことだ。

 私のような、王を名乗る実体のない「声」をむやみに信じてはいけない。

 だが、実在するモノゴトが真実とは限らない。


 さて、時間が来たようだ。

 これより第四章〈王太子デビュー〉編を始める。

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