第17話ベンチで昼食②

「ち、ちょっとシェリル…アルフレッド様が真っ直ぐこっちに来るわよ…」

「通り道だから此処を通るのは当たり前でしょう」

「で、でも…何故か視線が私達に向いているような…」

「気にしていると昼食が食べる事出来ないわよ」

シャロン嬢がアルフレッド王子を気にしている中、シェリル嬢はもくもくとパンを食べていた。

「やあシェリル嬢、昼食かい?」

「ぶっ!」

「きゃっ!?ちょっとシェリル~ッ?はしたないわよ」

「ごほっ、ごほっ…ご、ごめんなさ…ごほ…ア、アルフレッド様!?」

パンを喉につまらせたシェリル嬢は笑顔を向けるアルフレッド王子に声をかけた。

「い、いきなり名前で呼ばないで下さい」

「ははは悪い、君の姿が見えたものだからつい名前を言ってしまった」

「はぁ…」

「ん?しかし、名前を言わない方が失礼になるのでは?」

「…わたくし、今までアルフレッド様から名前で呼ばれました事はありませんわ」

「!…あ…そ、それは悪かったと思っているんだ…カインと親友に成る事を優先していたから…」

「……気にはしていませんでしたから…」

食べるのを止めていたシェリル嬢は、王子の前でパンを食べ始めアルフレッド王子は手に持つパンに目を向けた。

「…珍しい食べ方だね…丸いパンを半分に切り野菜とハムを挟んでいるのか?」

「ええ…そうですけれど…」

「……」

じっとシェリル嬢の持つパンを見ているアルフレッド王子に、ベンチに座っていたシャロン嬢が立ちアルフレッド王子に頭を下げ挨拶をした。

「ア、アルフレッド様。わたくしはシェリル令嬢の親友シャロンと申します。わたくしも珍しいパンだと思いましてシェリル令嬢とお話しをしていました」

「別に珍しくないと思うけれど?ただパンに野菜とハムを挟んだだけよ…ソースはかけるべきだったわ」

「もうっ、シェリルったらアルフレッド様がいる前でパンを食べないでよ」

「え?なんで?」

「ぷっ!あははははは」

「「!?」」

アルフレッド王子が、声を上げて笑う姿をシェリル嬢とシャロン嬢は驚いて見ていた。

「シェリー、アルに何を言ったんだい?」

「えっ、カインお兄様…わたくしは何も言っていませんわ」

クスッと手を口元にやり、笑みを見せる兄カインにシェリル嬢は首を傾げていた。



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前世は兄、今世はお嬢様、第一王子が前世で弟って嘘でしょう 冬猫 @meknko

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