次回予告

The TECTORIUM of the FERMION

Ⅱ-2〈Angel Paradox〉


 次回予告






「和彦さん。見てあげて……下さい」

「……」

「ありがとう。和くんが来てくれて、つかさもあの人も……二人とも喜んでるはずよ」


「私の力のことは、黙っていてほしいんです。他の人たちはもちろんですけど、その……珪介兄さんや沃太郎兄さまにも」

「え?」

「多次元時空保全委員会第四項対策室は、燐の力を把握してないのか?」


「沃太郎兄さま。もう……研究を再開されているのですか?」

「まあね。時間はいくらあっても足りない。……神稜地区の復興も手伝わずにこんなことをしていて薄情に見えるかもしれないが、この研究は一刻も早く先に進めなければならないんだ」


「ええと、たぶん、勘違いだと思うんですが」

「知らない、のか? そんなはずは……」


「拉致とはなによ拉致とは。愛の為せる業ってやつよ」

「それはわざって言わないやつ。ごうって読むやつ」

「漢字は一緒だから大丈夫よ」


「……」

「正直に言います。今回のこと……私は、うまく行くと思っていません。和彦さんを傷つけることになるだけじゃないか、とも思っています。けれど……それでも、やるのでしょう?」

「当たり前だ」


「どうして……兄さんが知ってるんですか」

「俺はお前の兄貴だよ。お前が何を隠したがっていて、何を伝えられないか分からなくてどーする」

「それは、答えになっていません」

「妹の隠し事に兄は気づくもんさ。だが、兄の隠し事に妹は気づかなかったみたいだな?」

「……」


「向こうの私のことは……気にしないでください。つかささんのことを第一に考えてくださいね」


「え、お前……さ、くや?」

「葉巻、なんでこんなところにいる? というより、背後のそれはなんだ。常軌を……逸してるぞ」


「葉巻和彦。燐はどうした?」

「……あんたには関係ないでしょう」

「いや、そんなことは――」

「時間がないんです。僕は行かなきゃならない」


「つかさが……」

「天原さん?」

「つかさが危ねーんだよ!」


「本当に……カズ、なの?」


「カズは……へーき……?」

「ああ。僕は、僕は……どこも」

「……よかった。でも、あたし、は――」


「私はあなたについていきます。和彦さんが……たとえどんな道を行こうと」





フェルミオンの天蓋Ⅱ-2〈Angel Paradox〉

こうご期待!

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フェルミオンの天蓋 Ⅱ〈Fallen Angel〉 周雷文吾 @around-thunder

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