第2話 第一の事件
ピーポ ピーポ
ざざぁー ざざぁー
うおーん うおーん
ざざぁー ざざぁー
静かなオフィスビルの立ち並ぶ区画に、サイレンと雨の音が鳴り響く。
「ここから先は立ち入り禁止です!」
たぶん警察官だろう、傘もさしていないので、どんどんと濡れていっているが、気にする余裕がないのか、ただ単にずぼらなだけなのか、手帳らしきものを見せながらテープの貼られた先に入っていく。
それを、私はクスリと笑ってみていた。
割と早い到着だねと感心しつつ、どうせ迷宮入りだよと、つぶやいた。
誰も、私を捕まえることは出来ない。なぜなら、私を見ることも出来ないし、私が何かを叫んだとしても誰にも聞こえないのだから・・・・・・・・・・。
私が、そうしたいと思わない限り・・・・・・・・・・。
『えー。本日のニュースです。
先ほど入ってきましたものによりますと、昨日(さくじつ)自殺をしたとされる○○ 神 見子さんのクラスメイトである、○○ さきさんが、同じ場所で飛び下り自殺をしたことが判明しました』
『あれ? 同じところで、もう自殺だと判明は早すぎませんか? 事件せいがないと、どこで判断したのでしょうか?』
女性のアナウンサーが隣の男性に意見をする。
『そうですねぇ、不思議ですが、・・・・・・ 』
何かを言おうとした男性の表情が一瞬止まり、其の後、ううんと小さく息を吐いた。
『ああそうですね。仲の良い友達だと思っていたので自殺する前に相談してほしかったというコメントをしていたそうですよ』
それを聞いた女性アナウンサーも、一瞬表情がうつろになったが、それに気が付くものは誰もいなかった。
なぜなら、それを見ていた全ての人が同じような状況になっていたからだ。
『成程、そういうことで、後追い自殺だと判断したのですね』
くすくすくす ああ可笑しい
あえて、大声で笑った。
だが、雨の音が、暗闇に響く笑いを隠していく。
復讐の怨嗟 トチイ 青 @usagiao
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★0 エッセイ・ノンフィクション 連載中 1話
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