アノ小説はなぜドラマ化・映画化・漫画化されたのか? ~あんな事、こんな事が書かれてた! あの人気作はこんなにエッチ?! これであなたの小説も映画になるかも!
第104回 ドクター・ホワイト 神の診断 その1
第104回 ドクター・ホワイト 神の診断 その1
「ドクター・ホワイト 神の診断」は、樹林伸の小説です。
以前パートⅠを記事にしました。この続編です。
https://kakuyomu.jp/works/16816927859434938319/episodes/16816927862608266566
――彼女とのコミュニケーションは、かろうじて動く
、指先ひとつ動かすことができない。だからモールス信号を用いて瞼の動きで意思を伝えるか、あるいはレッツ・チャットという特殊なコミュニケーション・ツールを使うしかなかった。
自発呼吸がないため、気管を切開して人工呼吸器をつけた状態である。1時間に1~2回の
白夜を作り出した元となった人物、海江田の娘の「朝絵」はALSという難病に冒されていました。
ALSとは、amyotrophic lateral sclerosisの略で、日本名は
神経細胞の一つであるニューロンが変性を起こして、体を動かすのに必要な筋肉が徐々にやせていってしまい、思うように動かせなくなる病気です。呼吸筋が弱まると呼吸困難に陥り人工呼吸器が必要になります。だから人工呼吸器を使用しなければ発症から数年で死に至ると言われています。
現代医学では完治することの出来ない、いわゆる「不治の病」ですね。良く映画やドラマの題材にもなっています。
元俳優の故三浦春馬が主演していた「僕のいた時間」は記憶に新しいです。
――「どんなに信頼性が高い検査でも、見落としは必ずあります。そして逆のケース、正常なのに異常な値が出てしまうことは、もっと沢山あるんです」――(ドクター・ホワイト 神の診断 文庫版 P.27)
白夜のいる高森総合病院に、
色葉は、トポロニンTという高性能な心筋梗塞マーカーが陽性となり、これにとらわれ過ぎたので、急患の高校生が心筋梗塞であると早とちりします。
白夜は持ち前の知識で色葉の誤診を見抜きます。
――「高森勇気が指名手配になった」
「えっ」
「麻里亜の兄貴が、警察に追われることになったんだよ」――(ドクター・ホワイト 神の診断 文庫版 P.42)
高森勇気は麻里亜の兄です。現時点で行方不明になっています。
――「日比野……いえ、今は滝カンナさんかな。彼女のお腹の中の赤ちゃんがね……」
麻里亜の言葉を拾って、白夜が言った。
「消えたそうなんです」――(ドクター・ホワイト 神の診断 文庫版 P.53)
カンナはパートⅠで登場した超重要人物ですね。狂犬病から奇跡のカムバックを果たしたタレントです。
そして、滝と結婚しました。
――癌の脈と妊娠の脈はよく似ているという話は、以前に白夜が言っていた。同じように体内で大きくなるものだからなのだろうか。血管を自分のために新生させて栄養を引きこもうとする点も、癌と胎児はよく似ている。――(ドクター・ホワイト 神の診断 文庫版 P.68)
人の命を奪う恐ろしい病気、癌と、人を幸せにする(?)胎児が似ているというのはなんとも皮肉なお話ですね。たしかにどちらも自分自身であって自分自身でない存在という共通点があります。
――「はい。卵巣妊娠からでも、無事に出産した例はいくつもあります。そして彼女はそれを望んでいます」
(中略)
「カンナさんは子供を産みたいと言っています。そのために妊娠を継続したままで、もし癌があるなら右の卵巣だけ摘出手術を受ける意向です」――(ドクター・ホワイト 神の診断 文庫版 P.82)
正常妊娠とは異なり、受精卵が子宮外に着床して発育が進んでしまう事を子宮外妊娠と言います。最も多いのは卵管に着床する事だそうです。そのほかに卵巣や腹腔、子宮頸管などに着床する事もあります。
カンナの場合は卵巣に着床しました。これが卵巣妊娠です。
――薄暗い手術棟の廊下を、疲れ果てた体を引きずるようにして去っていく彼を見送りながら、白夜は大きく頭を下げた・
見事な手術で滝を救ったことへの感謝なのか、それとも自分を解き放ってくれたことへのそれなのか。
非常階段の扉へと消えていく背中に向って、白夜はいつまでも頭を下げ続けたのだった。――(ドクター・ホワイト 神の診断 文庫版 P.129)
カンナの夫、滝も病気でした。腹部大動脈瘤の破裂です。白夜は秘密の連絡手段を使って麻里亜の兄、勇気を呼びました。そのおかげで滝は助かったのです。
さらに、これもパートⅠで出てきましたが、勇気は白夜を施設から救い出してくれた存在だったのです。
◇◇◇◇◇◇
読んでいただきありがとうございました。
次の第105回も引き続き「ドクター・ホワイト 神の診断」の秘密に迫ります。お楽しみに。
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