5・8 2019年某日その6

『……じゃあ、インタビューはこれくらいでお終いってことで。お二人さん、お疲れ様でした!』


『ほんと!? あーやっと終わった。長かったあ』


『さすがにこんな長時間インタビューされると疲れるな。こんなインタビューのどこが使われるんだか。あー、こんだけ時間かけたのに本番流れる時には編集されて大半がカットになってるのかー。なんか悲しいわー』


『安心して。ほぼノーカット版のインタビュー映像を後でDVDにして渡してくれるらしいよ。記念として。家でじーっくり見ればいいわ』


『ま、マジ? そ、それはそれで恥ずかしいなぁ。いつか年取った時に見るよ。今は直視してられないと思うから』


『いつかっていつよ。アバウトすぎ。10年後とかにしときな。ビデオレターも撮ったんだし』


『10年後ねぇ……。なんか、二人見てると改めてすげえなあって思うよ』


『ん? なんだよ木田』


『だってさ、その時二人は何年一緒にいることになる? 普通に考えてすげーよ。幼馴染同士で結婚することなんて……初恋が叶うことなんて、本当にあるんだな。感動する。そもそも、学生の頃は全然そんなんじゃなかったのにいつの間に夫婦になったんだ?』


『なにー今さら。なんか照れる』


『なーんもすごくないよ。もうここまできたら呪いみたいなもん。一生逃れられない呪い。逃げても避けても忘れようとしても、ずーっと会ってなくてもなんだかんだこうなっちゃってさ。呪縛だよ呪縛』


『なによそれ! 私が呪いだっての!?』


『呪いじゃないなら洗脳? かな?』


『はあああ!?』


『冗談だよ冗談! 人前で殴るな!』


『まあまあ落ち着いて。……でもやっぱりすごいわ。付き合い始めたのは最近だっていうのが余計すごいよ。ずっと会ってなかったのにさ、久々に再会して、じゃあ付き合おうってなるか普通? いつ恋愛する頭に切り替わるんだ?』


『まあ……そうだな。付き合ったのは二年前かな。それまではずっと会ってなくて』


『そうだね。もしあの時会再会してなかったら付き合ってなかっただろうし、今でも会ってなかったかもしれない。もしかしたらお互い別の人と結婚してたかも?』


『なんか懐かしいな。あの時、急いで飛行機乗ったの覚えてるよ。飛行機の中でも気が気じゃなかった。スマホ使えないからさ、全然落ち着かなかった。久々に夏の顔見たときちょっと泣きそうになったし』


『あーなんか思い出してきた。あの時はびっくりしたよ。まさか会えるとは思わなかったし、遠かったのにわざわざ飛行機乗ってくるとは思わないし……久しぶりだったからびっくりした』


『夏、俺の顔見て泣いたもんな。そんなに俺に会えて嬉しかったのか』


『はあ!? 泣いてないけど!?』


『記憶を改ざんするなよ。照れてんのか……いてっ! だから殴るなって!』


『あんたが変なこと言うのが悪いんでしょ!』


『ごめんごめん。……でもさ、人生って本当、運とタイミングと決断力なんだろうな。あの日電話が鳴らなかったら、あの日行こうって思わなかったら……きっと今ここにいない。夏とも結婚してなかった。ある意味、あの電話が人生を変えたね』



















………………


皆様


ここまで読んでくださって本当に本当にありがとうございます。

100話を超える作品に関わらずお付き合いくださり、感謝の思いでいっぱいです。


いよいよ最終章となります。お付き合いいただければ幸いです。

改めて、夫となるのはとちらなのかぜひ予想してみてください。

(2019年某日シリーズでの会話がある種のヒント(?)となっていますので、ご興味ありましたらこの機会にご確認ください……)

最終章でも、皆様にお会いできることを願っております。

それでは。

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