第11話 エピローグ

 喫茶店を出たところで、女子高生のグループと出くわした。


 彼女たちはドア越しに店の中を伺っているようだった。その横を通り過ぎるときに、彼女たちの会話が聞こえてきた。


「ここでしょ? 幽霊が出るって噂の喫茶店って」

「そうそう。なんか店の中を写真に撮ると、店員が一人多く写っちゃうことがあるらしいよ」

「こわー、ほんとに?」

「十年くらい前、この喫茶店に車が突っ込んでアルバイトの男の人が死んでるみたいなんだけど、その人の幽霊じゃないかって話だよね」


 女子高生たちは、怖がるそぶりを見せながらも、嬉々として喫茶店の中に入っていった。


 やはり、と言うべきだろう。彼女たちの間で口コミで広がっていたのは、店長特製スイーツの評判ではなかったようだ。


 許可なく写真を撮られ、文句を言ってる樋渡黎の姿を思い出しているうちに、あるアイディアが頭に浮かんだ。


 樋渡と悠璃、そして自分が並んでいるところをスマホで撮影したら、三人の姿が一緒に写るのではないだろうか。


 見えないものどうしをつなぐことができるかもしれない。


 これまで写真を撮ることも撮られることも好きではなかったけど、生まれて初めて自分から写真を撮りたいと、郡司は思った。


                                 END

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幽体離脱の目撃者 くろろ @kuro007

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