第574話 報酬
その後、俺たちは砦の中でも蜥蜴人兵士たちの中でも一番偉いらしい、蜥蜴人将軍という人物?蜥蜴?に呼ばれた。
「あなた方に報酬を支払おう!」
彼がそう言って配られたのは、主に武具やスキルオーブの類だった。
店で売っているが、現地通貨でしか買えずに、みんなで一生懸命お金を貯めている最中のものが多く、かなり喜ばれた。
加えて、俺たちでなく、砦の中に持ち場を持っていた者たちには、意外なものが配られた。
まず、俺たちに配られたような武具やスキルオーブの類。
これはおかしくはない。
それに加えて配られたものが不思議で、それは《蜥蜴人兵士の証》というものだった。
曰く、最も奮戦した戦士として、名誉蜥蜴人兵士として認められるものだ、という。
「……これって何の役に立つんだ?」
配られた当初、竜司はしきりにそう言っていたが、一緒に砦の中を歩いていると、蜥蜴人兵士からのフレンドリーさが、竜司に対してだけは違った。
「蜥蜴人兵士と仲良くなれるってことか……?」
「なんかそうみたいだな……意味あるのか?」
「いや、うーん、まぁ仲良くしてくれるっていうならそれはそれでいいと思うけどよ……え?」
そんな話をしているとまた、ふと、竜司が蜥蜴人兵士に話しかけられる。
俺の方は無視されているというわけではないのだが、客人として扱われている感があった。
気分が良くないということはないが、ちょっとした疎外感があって寂しい。
俺だって結構頑張って戦ったんだが……。
ちなみにワスプはいま、ここにはいない。
ちょっとその辺を飛び回ってこの周囲に何があるか確認しておいてほしいと頼んであるからだ。
雹菜との合流がまだ出来ていないため、彼女がどこに飛ばされたのか知りたかった。
どうもこの砦にはいないようなので、別のどこかに飛ばされたのだと思う。
賀東さんとか相良さんもおらず、少なくとも二つ以上は転移先があったのではないかと思う。
他の冒険者達とも話す限り、彼らと一緒にいたが、ここにはいないメンバーがそれなりにいるようで、その推測は間違っていないはずだ。
「あぁ、わりぃわりぃ。なんだか話こんじまって」
竜司が蜥蜴人兵士との話を終えてこちらに戻ってくる。
俺は手持ち無沙汰にしてたが……。
「いや、別に構わない。やっぱりその証の効果だよな。他のメンバーでも砦の中で戦ってた奴らは結構話し込んでるみたいだし」
周囲でちらほら見るのは、そういうことのようだと理解する。
「そうみたいだな。無駄ではなさそうだが、あれだけ戦った割に微妙な気もするけど……あぁ、でも早速意味がありそうなこと聞けたぜ」
「え?」
「なんかよ、ここ以外にも前線には砦があるらしいんだ。もしも同じ救世主で、ここにいない顔があるなら、多分そっちにいるんじゃないかって言ってたんだよ」
「へぇ……情報を聞ける効果があるってことか。俺は聞こうとしても聞けないのかな……」
「だとすると結構大変だな……まぁこうして知り合いが持ってりゃ問題ないんだろうが」
「どうにかして他の手段で手に入れられればいいんだが」
「次にこういう戦いがあったら、厳しそうな場所に身を置くとかか? どうなんだろうなぁ……」
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