第538話 外の依頼

 いくつか街中だけで完結する依頼を受けて分かったことは、やはりほとんど危険は存在しない、ということだろう。

 一応、下水道の掃除だけはそれなりの危険を感じたな。

 弱い魔物を駆除して欲しい、ということだったが、ポイズンラットが出現した。

 これは毒を帯びた巨大なネズミなのだが、強さ的にはその辺のゴブリンよりもずっと上だ。

 また、その特性として毒を吐いてくるため、回復薬や治癒術の類がない場合は、結構な危機に陥ってしまう可能性がある。

 初心者向け、とは言えないな。

 まぁしっかりと事前準備していればいいと言えばいいのだが、初心者には中々難しい。

 俺だって前はろくすっぽ準備もしないで迷宮に突っ込んでたしな。

 浅い場所でスキル条件満たしにいくだけだからっつって。

 今考えればあれは無謀かつアホな行動だったように思う。

 浅かろうとなんだろうと、そこは迷宮で魔物が出現する場所なのだから。

 結果として痛い目に遭ったわけで、本当に準備は大切だ。


「……そろそろもう少し危なそうなサブイベント受ける?」


 雹菜はくながそう言ってきたので、俺は少し考える。

 ま、確かにもう街中の依頼はいいだろう。

 感じはわかった。

 もちろん、もっとレアなサブイベントとかもあるのかもしれないが、そういうのは運が良くないと出会えるものではなさそうに思う。

 あくまでも基本的な傾向さえ分かればいいのだ。

 それに、サブイベントは受けるか受けないかを聞いてから選べるわけで、危なそうなら相談するようにみんなに注意しておけばいいしな。

 基本的にはこういうもので、これくらいのやつなら危険はさほどなさそうだ、ということだけ伝えられる程度に分かればいい。

 そこまで考えた俺は、雹菜に答える。 


「そうだな。街中でのイベントはもういいだろう。危なそうなってのは、《虫の魔物》退治をしてほしい、とかそういうやつだよな」


「そうそう。何人かそんな話をしてくれた人いたじゃない? 心苦しかったけど、流してしまっていたけど」


「とりあえず街中のイベント消化したかったからそうなっちゃったな。とはいえ、断ってもそこまで気分を害したって感じはなかったな」


「少し困ったわぁ、みたいな雰囲気になっただけだったね。あと、もしも気が変わったら言って欲しいとか」


「今こそまさに《気が変わった》って感じだな。言えばまた同じサブイベント受けられるんだろうか?」


「やるだけやってみましょう。ダメだったら同じような感じの人をまた探せばいいし」


「そうだな……行くか」


 そして、俺たちは頼みを断ってしまった村人のところに向かった。

 結果としてどうなったかと言えば、しっかりと同じサブイベントを受けることが出来た。

 流石に街の外のサブイベントを複数受けるわけにはいかなかったから、受けたのは一つだけだが。

 いや、いくつか受けても問題ないのかな?

 特に期限とか付されている感じでもなかったし……。

 ただ、最初からそれをするのはちょっと冒険すぎる気もしたので、あくまで一つ受けて、それを片付けてから後のことは考えようという話になった。


「《虫の魔物》、二人だけでなんとかできるかしら」


 雹菜がそんなことを言うが、


「大丈夫だろう。雹菜がいるから。俺も補助かけまくるし」


「考えてみれば限界いっぱいまでかけてもらっても見られる心配ないから問題ないのよね。じゃあ安心かな……」


 ******


投稿時間ミスりました。

申し訳ない。

今後ともどうぞよろしくお願いします。

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