第532話 イベント詳細

「で、《サブ》イベントの話に戻すが……」


 賀東さんがそう言ったので、俺は言う。


「あぁ、すみません、脱線して」


「いや、構わんが。それで実際に受けた《サブ》イベントなんだが、街の住人がくれたものは分かりやすいのが多かった」


「というと?」


「あの素材が欲しいから取ってきてくれないか、とか、あの魔物を倒してきて欲しい、とかそういうのだな。冒険者協会で依頼を受けるのとほぼ同じ感覚だった」


 確かに、それはそうだな。

 冒険者の本業そのものだ。

 ただ、そうなると気になる点もある。


「……そのイベント……依頼と言った方がわかりやすいですけど、それを達成すると何か報酬は貰えるんですか? 頼んできたのだから、何か貰えると考えるのが自然なんですが……」


 この俺の言葉に、賀東さんはニヤリと笑って、


「あぁ、報酬は貰えたよ」


 そう言った。


「おぉ、やっぱり……」


 そう言った続けて雹菜が、


「どんなものがもらえるのか気になるわね。お金? でもあのゲッコー王国で使えるお金と言われても微妙なような……うーん?」


 と言うと、賀東さんは言う。


「確かに金は貰えた。日本円じゃないのはもちろんで、ゲッコー王国の通貨であるというラケルタという単位のものだった。金貨、銀貨、銅貨があって、それぞれ一万、千、百ラケルタの勝ちだって話だ。それぞれ半分のもの……銅貨なら半銅貨があって、さらに少額貨幣として鉄貨もあったな。これが一ラケルタって話だ」


「へぇ、そんなものがあるのね……でもどこで使うの?」


「そりゃ、もちろんゲッコー王国さ。色々あの街を回らせてもらったが、ちゃんと店はあったからな。武具屋やら魔道具屋やらもあったぜ。金を払えばしっかり売ってくれる。特に魔道具屋の類はすごかった。術書とスキル書が売っているのが見つかった」


「それは……本当に?」


「あぁ、知っての通り、読めば術やスキルが身につけられるアイテムだ。迷宮でも稀にスキルオーブなんかも見つかるが……その類だな」


「手に入れたの?」


「いや、それはまだだ。というか、バカ高くてな。少し《サブ》イベントこなしたくらいじゃどうにもならん。向こうでたくさん依頼を受けて、貯めさせてる最中だ……」


「そう。うちでもそれは検討したいわね」


「そうしろそうしろ。《サブ》イベントなんだが、確かに人によって受けられるものは異なるが、どうもなくなるようなことはなさそうなんだよな。ほとんど同じ依頼を受けられたって例も出てきてる。あの王都は思った以上に広いし、イベントの奪い合いで揉める、みたいなことはそうそう起こらなそうだ」


「そうなの……」


「あとは……あぁ、そうだった。イベントそれ自体の達成で特別なアイテムが《ステータスプレート》から直接貰えることも分かってる。武具とか、術書スキル書とか、あとはステータスそのものを上げるアイテムとかな」


「……それが一番大事じゃない?」


「いや、そうとも言えねぇ。まだある」


「まだ!?」


「イベントそのものによって、スキルや術を身につけられることがあるんだよ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る