第531話 《サブ》イベントについての考察
「《イベント》欄の《サブ》ですか……試したってことは、それを受けるやり方が分かったと?」
俺が尋ねると、賀東さんが答える。
「あぁ。といっても、俺たちもなんとなく推測してただろ? あの蜥蜴人たちの街で普通に受けられるんじゃないかって話だった。しっかり《ステータスプレート》にも注釈で、街中で探してみよう!とか書いてあったしな」
確かにあそこから戻る時に雑談がてらそんな話をしていたな。
結局試さずに終わったが…… それをこの一週間の間に試したというわけだ.
「なるほど。それで……どんなイベントが?」
「これは面白い話だが……人によって違ってな」
「人によって、ですか」
まぁ、ゲームとは違うのだ。
しっかりとあの街には蜥蜴人が生きていて……いや、本当に生きているのかはよくわからないが、それでも確かにそのように感じるレベルで活動はしていた。
だから、同じ人から同じイベントが受けられるとか、そういう話ではないというのが自然かもしれない。
迷宮が擬似的に作り出しているに過ぎない、と考えれば同じようなイベントを何度も受けられる、という可能性もあるが……どっちだろうか。
そんなことを考えていると、賀東さんは続けた。
「あぁ。検証した結果わかったのは、まず、そいつの強さによって変わる感じだったな。たとえば……俺が受けられるイベントと、C級のやつが受けられるのは別だった」
「それは……難易度的な話ですか?」
「そうだな。それが一つ。そして同じくらいの強さのやつ同士でも、ステータスや職業、種族によって変わってくるというのもあった」
「……本当に個人によって違うんですね……なんか最近これと似たような経験をしたような……あっ」
そこで俺は思い出す。
そうだ、試験の時のあのくじだ。
あれと仕組みが似ている。
「なんだ、何か思いつくことがあったか?」
賀東さんの質問に俺は、
「実は……」
と最近受けた昇格試験でのことを話した。
これについては他のメンバーも興味深そうな表情で、
「なるほど、星宮の新しい技術ですか。まぁそのような理不尽な試験は二、三年に一回ありますね。なんだかんだ私たち冒険者は実験体的なところがありますから仕方ないのですが」
そういったのは相良さんだ。
「そうなんですか?」
「ええ。冒険者規則とかよく読み込めば分かるのですが、そういう時に冒険者は文句を言えないように解釈できる条項がいくつかありますよ。高校でも習うでしょうが……さらっとしか触れませんからね。みんな気づきにくいというか……国的にも気づかれないで冒険者に放り込みたいような意図があるのが黒いですが……」
言われてみると確かにやったような覚えもある。
ただあまり気にしなかったのは……。
「そもそも命がかかってる仕事ですから、その辺には鈍感になりがちなのかもしれませんね……」
俺がそう言うと、相良さんも頷いて、
「そうですね。せっかく命をかけるのだから国には冒険者を守ってほしいという気持ちもありますが……ただかなり冒険者が優遇されているのも事実です。その辺りでバランスを取っているということですね」
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