第530話 条件
「なんだか久々な気がするな」
昇格祝いも終わり、次の日からは通常業務に戻ったギルド《無色の団》。
俺と
俺については初音の修行もあるが、それは基本的には《転職の塔》攻略がない日になる。
俺の補助術はそこそこ重宝されているので、勝手に抜けるわけにはいかないからだ。
初音も大事だが、やはり世界的に重要なのは《転職の塔》の方なのは言うまでもないからな。
初音についても、慎と美佳が基本的にはついてやってるから、さしたる心配もない。
ソロのままだったら流石に心配だが、あの二人がついてて、かつ初音もしっかりと斥候ができるのだから、よほど無謀なことをしない限りは死ぬことはないと言えるからだ。
「お、来たな二人とも」
《転職の塔》、《初期職転職の間》に雹菜と一緒に行くと、すぐにそう声をかけられる。
隣には相良さんと世良さんもいて、以前と同じメンバーだな。
まぁ、今日もこのメンバーで行くつもりなので当然だが。
「あれ、五分前に来たつもりだったんですけど、遅れました?」
俺が尋ねると賀東さんは首を横に振る。
「いや、しっかりと時間通りだぜ。俺たちは午前中、ここで色々と試行錯誤してたからな。それもあって集まるのが早かっただけだ」
「試行錯誤?」
「ほら、こいつに触れて移動したりってやつだよ」
こんこん、とそこにある像を軽く叩いてそう言う。
その像は、触れることによって俺たちが以前行った蜥蜴人たちの国、ゲッコー王国へと転移できる機能を持っている。
今では《転移像》と呼ばれているらしい。
もちろん、俺たちの誰が触れても普通に転移できることは確認済みだが、他の人間……自分の足で行ったことがない人間とかが転移できるか、については細かいことはまだ分かってなかった。
一応、すでに行ったことがある人間の体に触れながらだと行けることは分かっているが、一人で行けるか、とか、その辺についてだな。
「何かわかったの?」
雹菜がそう尋ねると、相良さんが言う。
「色々とわかってきましたね。一つ目ですが、迷宮を通らずに一度向こうに行っただけでは、一人で転移できるようにはならないということです」
「やっぱり自分で迷宮踏破が必要なの?」
「そこなんですが、向こうに行った後に、しばらくの間滞在したり、活動すると、いつの間にか行けるようになっている、という現象が起こっているんですよ。これはいい発見ですね」
おぉ、意外な事実が……。
しかし、滞在はともかく、活動?
どういうことだろう、と首を傾げていると賀東さんが説明してくれる。
「厳密に言うと、長くそこにいるだけじゃ無理っぽいから、活動が必要だな。重要になるのが、ほら。《ステータスプレート》に新しく追加された《イベント》欄があったろう? あれだな」
「っていうと…… ?」
「《メイン》の欄については、みんな向こうに行くと共通で表示されるから、今ここだとあんまり関係ない。《サブ》と《特殊》が重要っぽくてな……《メイン》は蜥蜴王から受けられたろ? じゃあ《サブ》はって試したやつが出たんだ。もちろん、俺たちが連れてったやつでな」
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