第496話 イベントシステム

「……さて、そんじゃざっくばらんに話し合うか。お前ら、あれを見たな?」


 賀東さんがそう言った。

 あれ、とは言うまでもない。

 あのウインドウの表示のことだ。

 ずらりと表示された注意事項もだ。

 ちなみに、あの場での表示は謁見の間から下がった後、消えてしまったが、《ステータスプレート》を見ると《イベント》欄というのが新たに加わっていて、そこから確認することが出来るようになっている。

 ちなみに、今その欄の表示は、


 イベント:《メイン》《サブ》《特殊》


 という欄に分かれていて、いずれもタップすることが出来る。

 その中で、今のところ《メイン》の欄をタップすると《蜥蜴王の依頼》というのが表示される。

 他の二つについてはタップしても空欄だ。

 あの場で依頼を受けた以外にまだ何も行動を起こしていないので当然といえば当然なのは分かるが、サブと特殊はどういうイベントになるのだろうか?

 サブというからには、メインと重要性は異なるのだろうとか、特殊というのは特殊なのだろうとか、言葉の字義から想像できるくらいのことしか今はないが……。


「結局、イベントとはなんなのでしょうね? 蜥蜴人王から依頼を受けたら発生したわけですから、頼まれごととかを聞くと発生するもの?」


 世良さんがなんとなくの感じでそう言った。


「今予想できるのはその程度だな。他にもいくつかイベントが発生してるなら共通点を探すこともできるだろうが……何もないし。確認だが、お前ら全員の《ステータスプレート》に俺と同じ表示があると思っていいな?」


 賀東さんがそう言って、自分の《ステータスプレート》の《イベント》欄に表示されている事項を読み上げる。

 特にメインイベントの《蜥蜴王の依頼》については、その詳細の説明まであり、それも含めて全員一緒であることが確認された。

 ちなみにこんな説明だ。


 蜥蜴人王の依頼:謎の場所から湧き出る《虫の魔物》について、蜥蜴人王は憂いている。救世主と看做され、その討伐及び和解を依頼された君たちのは、そのために奔走することになる。達成度《★☆☆☆☆》


「……この達成度というのは何かしらね? 気になるわ」


 雹菜がそう呟く。


「まぁ、こういう場合は大体、全ての状況を終わらせると星五になるとかそういうのが一般的だろ? だから、まだ依頼を受けたばかり、イベントが始まったばかりだから星が一つなんじゃないのか? いや、《ステータスプレート》に一般的もクソもないけどさ……」


 あくまでも、ゲーム的に考えれば、の話だ。

 そもそも冒険者系のシステムというか《ステータスプレート》のシステムは、ゲーム的なものばかりだ。

 それが分かりやすいからそうなっているのか、他に理由があるのかはわからないが、その辺りから類推するのは間違いではないはずだ。

 実際賀東さんも俺の言葉に頷いて、 


「いや、別にそこまで的外れとは思わねぇ。それに、達成度、と書いてあるんだから何かを達成すれば星が増えてくわけだろ? これはこのメインイベントとやらについてだろうから、話が進んでいけば星も増えてくはずだ。そうなった時に確認できる」


「ですよね……他については今は確認しようがないですが……サブイベントとか特殊イベントとかどこで受けられるんだろう?」


 俺が首を傾げると、相良さんが思いついたように言う。


「メインイベントを蜥蜴人王から受けられたわけですから、やはり誰かか受ける、という感じなのではないでしょうか?」

 

「誰かっていうと……」


「ほら、街中には人がいっぱいいたでしょう。彼らから、とか……」


「そういえば食料の購入とか、必要最低限しか話しかけてはいないものね。試してみてもいいかも……でも街中とか出ても大丈夫かしら」


 悩む雹菜に、賀東さんが、


「行けるんじゃないか? というか、あれだ。今回、王宮から辞去するときは、いつまでに、ということを特に言わなくても出来たからな。次いつ王宮に行くかは特に決まってない。だから、とりあえず俺としては一旦、地上に戻りたいとも思ってるんだが……」


 そう言った。

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