第448話 魔人
「……とりあえずは……やっぱり魔人かな?」
次に《種族変更》すべき種族を考えたが、まずそれがいいのではないか、と思って俺はそういった。
すると雹菜が、
「どうしてそれを?」
と尋ねてくる。
「理由は色々あるけど、まずは《ステータスプレート》の順番通りだからかな。どうせ全部選択するんだし、あんまり考えすぎることもないだろ? あとは、雹菜と静さんは《魔》がつく種族になってるわけだし、何か関係あるかもしれないと思ってさ」
ジャド曰く、二人とも《魔族》らしいのだ。
《魔人》も魔族ではないのか?と考えてのことだった。
これにはみんな納得のようで、
「なるほど。まぁそうね……じゃあ選んでみてくれる?」
雹菜が代表してそう言った。
俺はそれに頷き、《ステータスプレート》の該当箇所をタップする。
すると、声が響く。
《……《オリジン》による、新種族の選択を確認》
《……人類への適合中……完了》
《人類に《魔族》への扉が開かれました》
……え。
一体これは……。
そうツッコミを入れる前に、俺の周囲が闇に包まれる。
そして体が作り変えられ、闇が消えると、微妙な表情をしている皆んながそこには立っていた。
「……聞いた?」
まず雹菜がそう言ってくる。
「《人類に《魔族》への扉が開かれました》ってやつか」
「その通りよ。他には何か聞こえた?」
そう言ってくるということは……。
「みんなにはそれしか聞こえなかったのか?」
「そうね。でも創はいつもの如く、何か他にも聞いてそうだと思って」
「そうか……まぁ、聞こえたよ。それによると、俺が新種族を選んだから、人類に魔族への扉が開かれた、みたいなことだったが」
「やっぱり、創のせいなのね……」
「俺のせいってことはないだろ……いや、俺のせいなのか……?」
「捉え方の問題ね。まぁいいわ。それにしても、《魔人》の見た目も見るに、やっぱり私や静さんのような《魔族》系で間違いなさそうね。アナウンスでも《魔族》への扉が開かれました、だし」
「どんな感じだ?」
俺が尋ねると、雹菜は手鏡を貸してくれる。
見れば、なるほど、と思う容姿だった。
俺が色々と確認していると、三人は言う。
「白目が黒いとか、瞳が赤いとかは私たちと同じね……」
「ただ男性だからか、筋肉の発達具合がすごいことになっていますよ。ステータスと見た目の筋肉には相関がないとはいえ、強そうです」
「私は頭の三本角が気になるなぁ。雹菜さんと静さんは二本と一本でしょ? 角が多い方が強いとか?」
確かに、そんな風に見た目が変わっているな。
特に角に関しては、頭の両側に一本ずつと、額に一本の合わせて三本、角が生えている。
シャンプーしづらそうでしょうがないが……今、気にするようなことじゃないか。
見た目以外の変化だと、魔力の流れ、存在の見え方が今までとはレベルが違っている。
雹菜が言っていたことはこういうことかという納得があった。
他に、軽く魔力を動かしてみると、ものすごくスムーズに動くこともわかった。
これなら、今まで下級クラスの術の模倣が限界だったが、中級程度でもいけそうな気がする。
あまり細かすぎる図形を魔力を使って描けなかったんだよな、太い筆で細かな絵を描くのが難しいように。
今は、太い筆と中くらいの筆を与えられたような感覚だ。
上級クラスの術は流石にまだ無理そうだが……だいぶ前進しているような気がする。
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