第439話 犯罪
「じゃあ……《精霊さん、手のひらくらいの水を出して》」
雹菜がそう言うと、ぼんやりとした光と共に、雹菜の近くに魔力が集まり、そして、水の玉が空中に出来上がった。
それは雹菜が集中している間、そこに浮かび続けたが、集中をとくと同時に、ぱしゃり、と形を失って、地面に落ちる。
「……今のが、《精霊術》?」
俺が尋ねると、雹菜は頷いて答える。
「そうみたいね。やってみたところ……あんまり私の方に消費はない感じだわ。集中力は使うけど、魔力とかが使われた、って感じはないかな。一応、精霊力の項目はあるけど、消費されるって感じじゃないのよね……」
「それはまた不思議だな。他の皆もやってみたらどうだ?」
俺の言葉に頷いて、黒田さんと静さんもやってみる。
属性はそれぞれ、火と土でまずやってみたようだ。
結果は、雹菜の場合とほぼ同じだが……。
「どうも、私の作った火の玉が一番小さいかな?」
黒田さんがそう言った。
それに静さんが、
「精霊力の数値は三人ともあまり変わりませんから、それ以外の要素で結果に差が出ているようですね。雹菜は氷系統の技や術を沢山持っているから、水にも親和性があるというところでしょうか? 私や黒田さんは特にそういったものはありませんが、私の方が術系統は多く経験があるようなので……」
そう言った。
なるほど、《精霊術》と言うが、《精霊術》の熟練度的なものだけで結果が変わるというわけではないのか?
黒田さんは静さんの言葉になるほど、と言った様子で、
「確かに私、翻訳系以外は大したスキルないからなぁ……。《精霊術》を使いこなしたいなら、他の属性スキルも使いこなした方がいいんだ……」
「ということは、私の場合、水以外はたいしたことないのかしら? どれどれ……」
雹菜がそう言って他の属性を試してみると、確かに水以外の属性はそれよりも規模が小さくなった。
それでもまた、黒田さんや静さんよりも大きな属性球を作り出していたが、それもまた、術などに対する慣れや親和性のゆえなのだろう。
この間児だと、美佳がエルフになれば……なれればの話だが……そこそこ強力な《精霊術》を最初から使えるのかもしれない。
あいつが目指しているのは《全術士》らしいし、エルフになるのが最大の近道なのかも。
その証拠に、みんな属性の別なく普通に使えているようだ。
職業で術士系を取るより、エルフになった方がいいのかも?
そんなことを考えるが……。
「全員がなれるのならそうでしょうけど、職業にもスキルそのものにも、なれる人、使えない人がいるからね。種族もその可能性が高いわ……。後で調べてみる必要があるわね」
雹菜がそう言った。
「ドワーフも、やっぱりなれる人限られてる感じかな?」
黒田さんがそう言うと、雹菜が、
「どうかしらね。それもデータが出そろわないとなんとも言えないから……。それより、今度はそっちになってみましょうか」
そう言ったので、今度は三人がドワーフ種族を《ステータスプレート》で選択した。
すると……。
「……これ、なんか犯罪を感じるな……」
つい、変化した三人を見て、俺はそう言ってしまう。
その理由は簡単で、三人とも、極端に身長が小さくなり、また顔立ちも幼くなったためだ。
総理が言っていたが、ドワーフは男性の場合はひげ面の中年から老年の男しかいないが、女性の場合はいつまでも若々しいという。
まさにその感じで……はっきりいえば、三人とも小学生のような見た目と身長になってしまっていた。
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