第437話 可逆性
「ちなみにステータスの方はどうなってるんだ? ジャド、それに静さん」
俺がそう言うと、
『見て構わないぞ、シズカ』
とジャドが言ったので、静さんが、
「じゃあ、失礼しますね……」
と言って、ジャドのステータスを見て、紙に書き出す。
それを見ると……。
名前:ジャド
年齢:124日
種族:ゴブリン族(ハイ)
称号:《目覚めたゴブリン》
職業:なし
腕力:42
魔力:52
耐久力:43
敏捷:45
器用:32
精神力:34
保有スキル:《虚実看破》《下位格闘術》《下位短剣術》
保有アーツ:なし
「おぉ……ギルドで確認したときよりもかなり上がってるな。種族はやっぱり、ハイゴブリンってことか」
まず変わった部分はそこだろおう。
見た目も大きく変わっているが、ステータスもかなり違っている。
全てのステータスが30近く上がっていて、これは普通にあげようと思えば通常なら一年くらいかかってもおかしくないくらいだ。
それなのに、種族が変わっただけでこんな風に上がっているというのは、やはり、上位の種族になったから、ということなのだろう。
「他にも、《下位短剣術》というのが加わっていますね。種族が変わると、スキルも追加されることがあるというのは興味深いです」
静さんがそう言った。
「確かに通常なら何らかのスキル獲得条件を満たす以外に得る方法は限られていたからね。種族が変わると得られるスキルもあるというのは、面白い話だわ……」
二人の話を聞きながら、ん、もしかして?と俺は思う。
今まで何のスキルも得られなかった俺だが、種族を変えればもしかして……?と。
だとすれば嬉しいんだがなぁ。
あとでしっかり試そう。
「ところで、ジャド。種族をハイゴブリンに変えられたのは分かったけれど、前の種族に戻る事って出来そうかしら?」
雹菜が尋ねる。
確かにそれを知るのが先決だな。
ちゃんと戻れるのであれば、ここまで種族を変えることに躊躇する必要はない。
ジャドは雹菜の質問に《ステータスプレート》を見て、
『種族欄にゴブリン(ノーマル)の記載が増えているな。これをタップすれば戻れるかもしれん。やってみるか?』
と言ってきた。
さっきまでは、現在の種族のところに表示されていた種族が、他の部分に移動していると言うことだな。
で、そこをタップすれば……。
雹菜は頷いて言った。
「抵抗がなければお願いしたいわ。せっかく上位種族になったというのに、申し訳ないけど……」
『いや、構わない。それにここで戻れるなら、もう一度ハイゴブリンにも戻れるだろうしな……どれ』
そう言って、ジャドは再度、《ステータスプレート》をタップする。
すると、先ほどと同じような光がジャドを包み、そしてノーマルゴブリンの姿へと戻った。
「やっぱり、戻れるみたいね……」
「これなら私たちも他の種族に挑戦できるね」
「やってみましょうか?」
と、雹菜、黒田さん、そして静さんの三人は乗り気だ。
続けとばかりに俺も、
「じゃあ俺も……」
と言ってみるも、雹菜は、
「……創は最後にしてくれる? 何が起こるか分からないから」
と止めてきた。
「いや、でもみんなと一緒のタイミングの方が……」
俺はそう言い募るも、
「駄目よ。今までやらかしてきたことを考えてね……そもそも、同じ種族にまず変わってみたいけど、創にはないでしょ? エルフとドワーフ」
「……そうだな。じゃあ、後で良いよ……」
そう言うしかなかった俺だった。
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