第434話 種族欄

「えっ、本当に!? す、《ステータスプレート》!」


 静さんの言葉に慌てて、雹菜はそう唱える。

 自分の目でしっかり確認しようということだろう。

 それに続くように、他の面々も自らの《ステータスプレート》を出現させ、新しい欄が出ていないかを確認する。

 もちろん、ジャドもだ。

 ちなみにジャドの《ステータスプレート》はゴブリンの文字で書かれているのか、見せて貰っても俺たちには読めないんだよな。

 だからゴブリンのステータスを確認するためには、現状、静さんのような鑑定士が必要になる。


「……本当にあったわ」


「そのようですね……」


「俺も確認できた」


『俺もだ』


 雹菜、黒田さん、俺、そしてジャドの順にそう呟く。

 ちなみに、一応、静さんも《ステータスプレート》を開いていたが、最初から分かっていたことだからかあまり感動がないような表情だ。

 なんでも鑑定できると若干、そういうサプライズ感は確かになくなるだろうな、と思う。

 とはいえ、本当になんでも分かるというわけでもないので、人生が詰まらないみたいな状態にはならないのが救いだが。


「それで、みんなどんな種族が出てるんだ?」


「創は?」


 雹菜が尋ねてきたので、俺は答える。


「あぁ……とりあえず、種族欄には人類の表示があるけど、タップするといくつか種族が出るな。《ゴブリン《キング》》《魔人》《仙人》《龍人》《神人》ってのだけだけど……」


「ちょ、ちょっと待って。え、そういうラインナップなの? 私は普通に……いえ、普通と言って良いのかわからないけど、《エルフ》と《ドワーフ》、それに《魔氷人》というのしかないわ。他の皆は……?」


 まず黒田さんが答える。


「私も《エルフ》と《ドワーフ》はありますね。他は……ないみたいです」


 次に静さんが、


「《エルフ》と《ドワーフ》はあります。加えて私には《魔眼人》の表示が……ふむ。どうやら通常の場合は人によるようですね。ただエルフとドワーフは共通?」


 そう言った。

 しかし、俺は言う。


「共通って、俺にはないんですけど!」


 けれど静さんは微妙な目で俺を見て、


「……創さんは……まぁ、なんというか、世界的に例外というか……普通の範疇に入れることは出来ないんじゃないですかね」


 と言ってくる。

 これには、


「そ、そんな……いや……言葉もないです……」


 と言うしかなかった。

 ここで気を取り直すように雹菜が、


「でも、私と静もちょっと変わったのが一つあるじゃない。魔氷人と、魔眼人というやつ。響きが怪しげで、大丈夫なのか不安だけど」


 と言ってくる。 

 確かにそうだ。

 黒田さんにはないみたいだものな。

 静さんは少し考えてから、


「そうですね……雹菜の魔氷人は、職業が氷剣士ですし、それを鍛えてきたから、という可能性がありそうですが」


「じゃあ、静の魔眼人は……魔眼って何よ。バロールの魔眼とか? でもそんなの鍛えているわけも……」


「静さんが鍛えてのは鑑定系だし、鑑定は見て情報を得てるわけだから、それを魔眼って言ってるんじゃないのか?」

 

 俺がそう言うと、


「なるほどね。まぁそれが一番納得しやすい話かも。で、英美里に出てないのは……」


「私が翻訳士としてまだまだってことかな? もっと鍛えれば翻訳人とかになるのかな……?」


「それはなんとも言えないわね。ただ、可能性はありそう。あとは……ジャドはどうだったの?」


『む、俺か。俺は……《ゴブリン《ハイ》》とか《ゴブリン《ヴェノム》》とかだな。これを見るに、ゴブリン種族の中の上位種が並んでいるようだ……』

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