第430話 ジャドのステータス
「……ジャド、それじゃあとりあえずステータスを見るが、構わないな?」
ギルドビルで黒田さんを通訳にして、そう尋ねると、ジャドは頷いた。
『構わない。そもそも、前にも見せているしな』
前、とはジャドがここに最初に来た日だな。
あれから数日経っている訳だが、改めて見てみて、変化などを確認しようということだ。
加えて、これからの予定のゆえに、一旦記録しておく必要もあった。
俺はジャドの言葉に頷いて答える。
「確かにな。じゃあ静さん、改めてよろしくお願いします」
「ええ」
そして、ジャドのステータスを静さんが紙に書き出していく。
名前:ジャド
年齢:124日
種族:ゴブリン族(ノーマル)
称号:《目覚めたゴブリン》
職業:なし
腕力:12
魔力:22
耐久力:13
敏捷:20
器用:10
精神力:18
保有スキル:《虚実看破)《下位格闘術》
保有アーツ:なし
改めて見てみると、色々と気になるところがあるな。
まず年齢だが、一歳未満だと生まれてからの日数で表示される、というのは人間でも同じだ。
ただ、ステータスプレートでどうなるかは分からない。
というのは、赤ん坊がそれを出せるわけもないからな。
一応、単語だけ覚えさせて十ヶ月くらいで何とか言わせてみたりしてみた人間もいるのだが、明確な意思を持ってステータスプレートを出そう、としない限り出てこないらしい。
考えてみると、確かにそれはそうだな、と思う。
何せ、普通に会話している時に、ステータスプレートという単語を口にするだけで出てきてしまっては不便だ。
実際にそういうことにはなっていないし、つまり単語を言うだけでは当然出てこない、と言うのは納得の話だった。
また、種族欄があるのも気になるところだ。
これは以前までのステータスには存在してなかった欄になる。
ただ、今は、俺たち人間のステータスプレートを見ると、しっかりとこの欄が出るようになっていた。
もちろん、俺たちの欄には《人類》の文字がある。
ゴブリンは人類ではないのか?
と言う疑問が生まれたりもするが、ステータスの表記は俺たちが決めているわけではないのでなんとも言い難いところだ。
加えて、ゴブリン族、と言う表記はいいが、ノーマルと書いてあるのも気になる。
ノーマルじゃないやつもいるのか?
とかそんな疑問が……。
まぁ今はいいか。
それと称号だな。
「《目覚めたゴブリン》って言うのは……やっぱりそう言うことなんだろうか」
俺がそう口にすると、静さんが言う。
「前は見られませんでしたが、今はどうもテキストが付いてるようです。《迷宮の意思の支配から外れたゴブリン。本来の思考能力を取り戻している》だそうです」
「迷宮の意思ねぇ……なんだか気になる単語だよな。まぁジャドの話を聞く限り、そういうものが本当にあるのは予想がついてたけども」
俺がそう呟くと、雹菜が言った。
「迷宮の魔物は、みんな、それに支配されている、ということなのかしら。ということはそれを外せれば、どれもジャドみたいになれる……?」
確かに理屈で言うならそう言うことになるだろう。
ただ……。
「そうはいうけど外し方が分からないからな」
「確かにそうね。でも可能性があるくらいのことは頭の隅にでも入れておきましょう。今後、他の種族が同じような状態になることもありうるかもしれないし」
「エルフとかドワーフがいるわけだからな……彼らもまた、迷宮からジャドたちのように出てきたんだろうか……」
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