第358話 スキルポイント
「これは……そもそもスキルポイントとは一体……?」
「名前から察するに、スキルを得るためのポイント、ってことかしら? 人間にはそんなものないわよね……」
静さんと
俺は説明を続ける。
「スキルポイントなんだけど、気づいたら霙のステータス……と言っても、《ステータスプレート》から見れる方だけど、そっちに表示されるようになってたよ。ほら、ここ」
そう言って示すと、そこには、
スキルポイント:100
の記載があった。
「100も? 多くない?」
「確かに多いような気はするけど……《咆哮》は1ポイントで覚えられるみたいだからなぁ」
同じようなスキルであれば百個も覚えられてしまうということになる。
それはとんでもない話だ。
まぁ、人間にそれだけのスキルを身につけている者などいない、というわけでもないのだが。
数多くのスキルを持っている人間というのは結構普通にいる。
ただ、その全てが戦闘に使えるかどうかはまた別だし、また使いこなせるかどうかも違う。
数が少なくても、しっかりと使いこなせるスキルを一つ持ってる方が、何十も持っている人より強い、ということは普通にありうる。
臨機応変にどんな場面でも対応できるのは、たくさんスキルがある方なのだが、結局そうなると器用貧乏にも近づいてくるからな。
どっちがいいかは一概に言えない。
まぁ、覚えておいて、好きなのを鍛え上げればいいので覚えている分には損はないのだけど。
何にせよ、俺には全く関係のない話だが。
今でも俺は一個もスキルがないのだから。
アーツはあるから、もう気にしてないんだけどね……そう、気にしてないんだ……。
「他のスキルも同じくらいのポイントで覚えられるのですか?」
静さんの質問に俺は答える。
「いや、それは違うな。例えばこの、《中位爪術》を覚えさせようとすると……」
スキル《中位爪術》を覚えますか? スキルポイント5を消費しますがよろしいですか?
そう表示された。
「なるほど、強力なスキルほど、ポイント使用量が多い? では《上位爪術》は……って、見当たりませんね」
「それなんだけど、どうも表示されてないっぽいんだよな。一応、一通りは見てみたんだけど、見逃しがなければ間違いないと思う」
「……この数を一通り見たの? だいぶ大変だったわね……」
「そりゃ、霙のことだからな。しっかり確認しておかないとさ……もちろん、絶対に見逃してないという自信はないけど」
「創は細かい作業得意なわけだし、多分大丈夫でしょう。でもそうなると、どうして《上位爪術》はなかったのかしら?」
首を傾げる雹菜に静さんが言う。
「おそらく、《中位爪術》を覚えなければ表示されない、とかでは? 《上位牙術》もなければ推測に信憑性が出ますが」
「なるほど。どうなの、創」
「やっぱりそういう結論になるよな。俺もそう思って探してみたんだけどやっぱり《上位牙術》もなかったよ」
「やはりですか……。それを考えると、ここに表示されているスキルは、すべて下位もしくは最下位のスキル、ということなのでしょうね。既に覚えているスキルの一つ上のスキルについては表示される、と」
「だと思う。だから、上位スキルでどれくらいポイントが必要なのかは分からないんだよな」
「いっそのことだから、爪術か牙術、中位のを覚えさせてみたら? 主力なんだし、確実に使うでしょう?」
「やっぱりそう思うか? なんか俺、こういうポイント消費みたいなの、勿体無く感じちゃってなかなか使えなくてさぁ……」
「なんで使ってなかったのかと思ったら、そういうことだったのね……」
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