第343話 ステータス

「……おっ?」


 それを感じたのは、霙が十体目のトレントを倒した時だった。


「どうしたの?」


 雹菜はくなの言葉に、俺は言う。


「多分、霙のレベルが5になったと思う……あぁ、やっぱり!」


名称:*****《霙》

種族:竜(無)《幼体》

レベル:5/100

種族固有スキル:《滅尽吐息》《下級属性吐息》

一般スキル:《下級無術》《下級氷術》《下級爪術》《下級牙術》《下級木術》


 霙のステータスを意識してみると、レベルの数値が確かに5になっているのが分かった。

 それだけではなく……。


「他にもなんかスキル増えてるぞ。《下級木術》だって」


「《木術》……また珍しいものを。使い手は数えるほどね」


「しかし人間が爪術や牙術を覚えるよりも多いですよ。効果は樹木を操ることが出来るというものですね」


 静さんが雹菜に続けてそう言った。


「樹木を操る……って、それ強いですか?」


「使いようによっては……。まぁ《上級木術》を覚えている人には会ったことがありませんから、下級のものの話になりますけど、相手の足元に蔦を生やして足場を悪くしたり、木の槍を放ったりすることが出来はずです」


「……地味だし、木の槍は……石の槍とか火の槍とかと比べて脆そうですね……」


 なんとなくのイメージからそう呟いた俺だが、静さんは首を横に振る。


「そうとも言い切れません。先ほど、迷宮の樹木の頑丈さについて話ましたけど、魔力の篭った樹木というのは、場合によっては通常の金属よりもずっと硬かったりしますからね。スキルをうまく使えば、それに匹敵するくらいの硬さを出すことも出来るはずですよ。実際に、私は鉄の盾を貫く木の槍を見たことがあります」


「おぉ……それはよかった。なぁ、みぞれ


「キュッ!」


 喜んで泣く霙の頭を撫でる。

 すると、


「……ところで、どうして霙のレベルが上がったのが分かったの? ついさっきまではいちいち確認しないと分からなかったじゃない。今回はなんか感覚的にビビビって感じで分かったように見えたけど?」


 と雹菜がきいてきた。

 さすが、よく見ているというか……。

 俺はこれに頷いて、


「あぁ、多分、俺にも変化があったんだと思う。ええと、《ステータスプレート》」


 俺が口にすると、手元にそれは現れる。

 そしてそれを見てみると……。


 名前:天沢 創

 年齢:18

 称号:《スキルゼロ》《冒険者見習い》《地球最初のオリジン》《総理(日本)の救出者》《アイドルのマネージャー》《異邦人》《真竜の主》……

 職業:魔術師《地球》

 腕力:152(+12)

 魔力:245(+15)

 耐久力:230(+14)

 敏捷:215(+22)

 器用:8110(+2453)

 精神力:8680(+3345)

 保有スキル:無し

 保有アーツ:《天沢流魔術》《天沢流剣術》《マグスガルド陣術》《天沢流従魔術》


 三人でそれを見つめると、絶句した。


「……相変わらず化け物みたいな上がり方してるわね、器用と精神……もう少ししたら五桁……? 人間なの……?」


「五桁の人間は見たことがないですね……四桁ですら、一つの能力値だけ、という人しか見たことは……。しかし、他の数値ならともかく、器用と精神だと分かりやすい結果が出すことが出来ないので、一見して化け物感が出ないですね……」


 二人揃ってそんなことを言うので、俺は反論する。


「……いやいや、俺はしっかり人間だから! というか、今回は精神力の上がり方がすごいな……なんかしたっけ?」


「異世界行って帰ってきたからじゃない? 後は……霙を従えたこととかも影響してたりするかもね?」


「そう言われると……まぁ色々あったからか? よく分からないステータスだよな、ここ二つは……」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る