第331話 ギルド本部

 その後は、従魔関係についての情報交換を今後行おうとかそんな実務的な話をした後、《黒鷹》のそれぞれの部署の関連施設などの見学を改めてさせてもらい、訪問は終了となった。

 賀東さんは帰りに、


「まぁ、分からないことがあったらいつでも訪ねてこい。《無色の団》の奴らなら誰でも歓迎するからよ。流石に俺はいつでもいるってわけじゃあねぇが、話は各所に通しておく」


 と言ってくれた。

 本当に面倒見のいい兄貴分という感じだな。

 今日、《黒鷹》のさまざまな部署の人間も紹介されたが、彼らもまた賀東さんと似た気質を持っていた。

 ただ過去の話を聞くと、みんなやらかしがちだったというか、不良から更生したというタイプが多かったが、今、真っ当に生きているのなら良いだろう。

 そもそも、冒険者の資質を持った不良というのは世界でも大問題になっている危険な存在で、そのまま放っておくと犯罪組織へと進んでいくものだからな。

 世界的なテロリストとかに高位冒険者並みの能力を持っているという場合は結構ある。

 しかし日本ではそれほど聞けないのは、賀東さんの尽力があるからだと思う。

 今日出会った人々は、戦ったらかなり強そうな人ばかりだったしな……道を大きく踏み外していたら、日本の治安はこんなものでは済まないと思う。

 それに《黒鷹》は治安維持という意味でもかなり役立っていて、警察や軍などと協力して、不良冒険者が何か起こした場合には鎮圧に手を貸したりもしているということも聞いた。

 《無色の団》にもそのうち、そういう依頼が来ることもあるかもしれないから、その時は相談するといいとも。

 大規模ギルドになると、社会的責任というのが半端じゃないんだなとよく理解させられた俺たちだった。


 ******


「で、戻ってきたはいいけど、この子よね……可愛いけど、分からないことが多すぎるわ」


 雹菜が抱えた子竜を見つめながらそう言った。

 あのあと、《無色の団》ギルドビル、五反田本部の方へとみんなでやってきた。

 今日のメンバーは中心メンバーしかいないため、本部でなくこちらの方が気兼ねなく話せるだろうということだ。

 実際、かなりカオスな状況というか、みんな好き勝手に振る舞っている。

 本部だと周りの目があるので流石にここまでの振る舞いは出来ないらしい。

 まぁ、内装も向こうと違ってこっちはプライベート感があるというか、ギルドビルというより金持ちの友達の家くらいの感じがするような雰囲気だからな。

 くつろげるというものだ。


「一番分からないのはレベルだけど……どうやってあげるんだろうな? やっぱり魔物と戦ってか? というか、人間にはないのか、レベル」


 俺が言ってみると、静さんが言う。


「他の従魔を見てみないと何とも言えませんが……かなり貴重な存在ですからね。私もそれほど遭遇したことがないのです。以前見た時にはなかったと思いますが、私の鑑定能力はその時より上がってますから……」


「え、そうなのか?」


「ええ。やっぱり創さんのおかげで普通に能力値が上がるようになったことが大きいんだと思います。今では普通に魔物を自分で倒しても上がるのですけど、それに比例するように見られる情報が増えていて……」


「以前でもほとんど見たものの情報を丸裸にするような感じだったのに、それ以上か」


「そうですね……でもやっぱり、以前は迷宮関係のものにはまだ見えてないものが多かったんだと思います。この世の情報と言いますか、血液型がなんだとか子供が何人いるかとか、そういうものは以前でほぼ全て見えていましたけど、魔物については最近やっと見えたことが多いです」


「その中に、レベルが?」


「多分……人間のレベル、というのも、もしかしたらあるのかもしれません。でも、今の私の能力では難しいのかも……」

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