第259話 陣
「……中々に一朝一夕では身につけられない力っぽいな。やっぱり魔術から先に学んだ方がいいか……」
闘気術は少なくとも、普通に学ぶ方法では無理そうだ。
自分自身で先ほど見た現象を頼りに工夫して発動させる方法を考えていくとして、先に魔術を学んだ方が良さそうだ。
そこでミリアに向き直る。
「ってことで早速、使い方なんかを教えてもらえると嬉しんだが……ミリアは補助魔術が得意なんだよな?」
「あ、はい。一応、色々教えてはもらったんですけど、その人によって持ってる魔力の質に違いがあって、得意な系統に違いが出るんですよね」
「魔力に質が……」
俺としても、別にそんなものない、とは言わない。
言わないが、質と言っても、単純に量の多寡とか、そんなものくらいしか浮かばないな……これは量ではなく質の話か。
さっき、エリザが見せてくれた闘気術だと、魔力は完全に変質していたが……あくまでも魔力を使って発動させるのがこの世界の魔術のようだし、そうなると魔力の質とは、という気がしてくる。
……まぁ、それだけ考えてもわかる話じゃないか。
とりあえず見せてもらってから考えた方がいいだろう。
「ちなみに、私が最も不得意なのは火系統と、風系統ですね。地系統と水系統はほどほどに、そして、神聖魔術系に関しては魔術回路……魔術に使う場合には陣とか魔術陣ということが多いですが……それが分からないのでなんとも言えません。一応、禁術系として闇とか暗黒とか洗脳とかそういったものもありますが……そういうのはやっぱり陣が分からないので才能があったとしてもなんとも。普人族には闇や暗黒系統が得意な者は滅多にいないと言われていますが、歴史を振り返るとたまに暗黒魔導師とか普人族からも出るので才能がある可能性もあります……あっ、この辺の話は実は結構危ないので、街中で話しちゃいけませんよ!? 異端視されてしまうかもしれませんからね……」
ミリアが一気にそう言った。
情報が多いが、概ね、魔術の系統に関する話で、何に適性があるのかということだな。
地球でのスキルの《術》にほぼ近い系統分けだが、スキルの《術》も全てが解明されている訳ではないので全く同じかと言われると分からない。
それにしても気になるところが結構多いな。
一番は……。
「……魔術というのは、結局、《魔術陣》の形が分かれば自由に発動させられるってことか?」
そう、そこだ。
そこが気になっていた。
もしそうだとすると……俺にとってはだいぶ得なのでは?
と思ったからだ。
ミリアは頷いて、
「はい。単純に言ってしまえばそうですね。ただ、《魔術陣》の形が分かったからと言って、絶対に発動させられるか、と言ったらまた話は別ですが……やはり修練が必要になりますよ。これは発動のさせ方と関わる話なのですが……一般的な魔術は、魔力を魔術陣の形に組み上げ、起動魔力を注ぎ込んで放つ、という工程を減るんです。上手な魔術師ほど、この工程が早くて、一瞬で発動させたり出来るのですが……まぁ大抵の人は無理です。人間の能力の限界というものがありますから。なので、様々な段階で補助を入れる必要があります」
「補助とは……」
「一番わかりやすいのが、詠唱ですね。それをすることによって、《魔術陣》の組み上げが簡単かつ早くなります。純粋に魔力だけでそれを行おうとすると……正直、針の穴を通すような作業の連続になってくるので……絶対にできないとは言いませんが、たとえば先ほどの《小火》の《魔術陣》を地面に書かず、魔力だけでやろうとしたら私なら……三十分はかかってしまいますね」
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後書きです。
いつも読んでいただきありがとうございます!
ユーザーフォロワーが1000人になりまして、そのお礼を申し上げたくて……。
それに、本作の星も、もう100ほどで一万になりそうで、嬉しいです。
どうぞこれからも、よろしくお願いします!
それだけでした。
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