第254話 色々
俺は二人の言葉を聞いて驚いた。
なぜと言って、そう簡単に信じられるような内容とはとてもではないが思えないからだ。
俺だって、地球にいた時に誰かが、俺は異世界から来たんだと言ったら信じる自信はない。
それなのに。
そう思って、俺は尋ねる。
「どうしてそんなに簡単に信じてくれるんだ?」
するとミリアがまず、言った。
「色々理由はありますけど……そもそもハジメさんがそんなことをで嘘を言う必要はないじゃないですか。冗談という可能性もないではないですけど、いくらなんでも唐突過ぎますし」
続けてエリザも言う。
「他の大陸から来たにしては、別大陸に渡ろうだとか考えている様子もなかったしな。《異邦人》だというのなら、元いた場所にとりあえず帰ろうとするものだが、少なくともこの世界のどこかに帰る、という感じはしなかった。理由を聞けば納得だよ。そもそもこの世界に帰るべき場所がなかったということなのだから。カーク村には比較的、執着というか、それほど離れたそうでもなかったしな。まぁそれは飛ばされてきた場所がそこだからだと考えればおかしくはなかったかも知れないが」
単純に今までの信頼から、というよりは俺の行動をよく見た上での判断のようだ。
確かに、俺はそのようにしてきたな。
地球に帰る為にはこの世界のどこかの大陸に渡るとかそんな方法じゃ無理なのは初めから分かっていたし。
まぁ別に他の大陸に興味がないというわけでもなかったんだが、今すぐに渡りたいとかは少なくとも今はなかったしな。
そういう諸々を見て、そういう結論に至ったと。
納得だった。
「話が早くてありがたいよ……まぁ、ともかくそんなわけだから、俺は一旦帰ろうと思ってる」
「一旦というが……戻って来られるのか?」
エリザが尋ねたので俺は言う。
「あぁ、あの女が言うには、可能だって話だったよ。あと、《ステータスプレート》……向こうで冒険者がみんな持ってる特別な魔導具みたいなものがあるんだけど、そこに色々書いてあってさ。見る限り、行き来はできそうなんだ」
そこにある表示についてはあの女に説明されたが、詳しく見てみると本当に最低限の説明だったのだと今なら分かる。
あの女が言った以上に色々な表示や機能らしきものがありそうなのだ。
例えば、《限界随行人員数》なんて欄もある。
そんなもの一切説明していなかったが、確かに存在していて、どんな意味なのかは見ただけでは、はっきりしない。
だが、なんとなく言葉の意味合いから考えるに、一緒に世界を渡れる人数の限界、ということではないだろうか?
今の表示は《1》なので、一人だけなら一緒に世界を渡れると、そういう意味な気がする。
これが限界なのか、それともこれから先増えたりすることがあるのかも気になるが……まぁしかし、連れてくるのだとしたらまずは雹菜だろうな。
我らがギルドリーダーにこの世界を教えてやりたいと思う。
あと二人にも紹介したいところだ。
ギルドとしては、異世界の素材などを得られればそれこそ大儲け出来そうでもあるし。
まぁ、あの女の説明からすると、いずれ他の人間も異世界に行けるようになりそうだが、今のところは《オリジン》である俺が必要なようだから、しばらくは独占できる可能性もある。
そんなことを考えていると、ミリアが言う。
「ハジメさんの世界にも、冒険者っているんですね。ギルドもありますか?」
「あぁ、いるし、あるよ。ただギルドはこっちの世界とは違うな。こっちの世界のギルドって、国全体にまたがる大きな組織って感じだけど、こっちの世界のギルドはなんというかな、冒険者が集まって作ってる商会みたいな感じなんだ。それがいくつもあって……」
「それは面白いですね。ハジメさんもギルドに所属しているんですよね?」
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