第5話意味深な表情の幼馴染

リビングのソファで身体を沈めて、テレビに食いついている玖倉。

「あのぅー、玖倉さーん……いつまで居座る気ですか?」

「私をそんな邪険にすんだ。へぇー」

「邪険ってことは……もうじきしたら、来るからさ」

低すぎだろ、声……めっちゃ不機嫌なんですけど。

「誰よ、来んのは?」

「……」


沈黙をどう捉えたのか、彼女がすっとソファから立ち上がり、「ふぅ〜ん」と漏らし、リビングを出て、そのまま帰っていく。


はぁーぁ……何しに来たんだよ、玖倉あいつは結局。


玖倉が帰宅して20分程し、新條が姿を現す。

「おはよう、たぁくんっ!今日は何する?」

「おはよう、なっちゃん。どうしよう……」

顎に手を当て、思案する俺。

「新婚ごっこっ!なんてどう?」

「それは……恋人ですらないのに、なんていうか……」

後頭部を掻きながら、視線を逸らす。

「ごっこだよ、ごっこ。たぁくん、ウブすぎぃ〜!じゃあ、ひと汗かきにでも行くぅ?」


「うぅっ……ひと汗かきに?それって——」

言い終える前に手首を掴まれ、外に連れていかれる俺だった。

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人前では見せない裏の顔を俺だけが知っている 闇野ゆかい @kouyann

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